私は、いつものように、沙那ちゃん達と屋上へ向かった。
はぁ…やっぱり馴染めないな…
昼休みが終わって、教室に戻ろうとした時、誰かに声をかけられた。
ふいに声がした方を見ると…同じクラスの高瀬くんだった。
なんでそんなことを聞くの?
…いや、なんですぐに答えられないの?
思わずムキになって叫んでしまった。
そう言って、高瀬くんは通り過ぎて行った。
何なの?
何がしたいの?
『いつも愛想笑いして』
その言葉が胸に刺さる。
…そうだよ、愛想笑いだよ。
…でも、こうするしかないんだよ…
教室に行くと、沙那ちゃんに声をかけられた。
沙那ちゃんが優しく微笑む。
本当、沙那ちゃんっていい子だな…
てか、私なんで高瀬くんのこと隠したんだろう…
沙那ちゃんは、なんでこんなに私のことを気にかけてくれるのかな…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。