はぁ…っ、はぁ…っ、はぁ…
私は猛ダッシュで教室を飛び出してきた。
後悔はしてない…けど、明日から高瀬くんとどう接したらいいの?
どんなに活発な性格の人でも簡単には言えないことを、私はついさっき高瀬くんに伝えたんだ…
誇らしい気もするけど、やっぱり恥ずかしい。
私が校門の前でうずくまっていると…
思わず顔を上げたら、辻野くんと目が合った。
辻野くんの目に真っ赤な顔の私が映る。
私は思わず目をそらした。
辻野くんは、口に人差し指を当てて、人が少ない所へ私を連れてきた。
辻野くんは、少し考えた後、こう言った。
私はコクコクと頷いた。
私の知ってる高瀬くんは、絶対にそんなことしない。
そんな高瀬くんだから、私は好きになったんだ…
…っていうか、私なんで自分で振った相手に相談してるの!
それってかなり失礼なことなんじゃ…
何だろう…
私の知ってる人…?
私の…友達?
どういうこと…?
私が告白するって知ってたのかな…
もしかして…
あれ、違った…?
ということは…
もしかして、両想い…?
しまった、まだ沙那ちゃんから伝えてないのに、私が言っちゃダメだよね…
辻野くんが、ガッツポーズをした。
私と辻野くんは、ハイタッチをした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。