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第1話

今日も同じ空
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2019/01/27 02:28
勉強、運動、技術、才能、音楽、全てが苦手。
そんな、何の取り柄もない私は、笑っていないと、友達もいない。
いつも、愛想笑いして、みんなの空気を読んで、仮面を被る。
本当にこれでいいのかなって思っても、私にはこれしかない。
沙那ちゃん
沙那ちゃん
音羽ちゃーん!一緒に体育館行こ~!
音羽
音羽
うん!
小松こまつ沙那さなちゃんは、私のクラスメイトで、よく一緒にいる。
いわゆる「友達」だ。
移動教室の時は、いつも沙那ちゃんと、数人の女子と一緒に行く。
沙那ちゃん
沙那ちゃん
でさ、鈴木がさ~
女子
女子
何それ~ww
音羽
音羽
ははは
沙那ちゃん
沙那ちゃん
やばくない⁉w
音羽
音羽
うんうん
女子
女子
やばいでしょww
一見して、何気ない会話だけど、私は愛想笑い。
みんなに合わせるだけで、話にはついていけていない。
女子
女子
鈴木といえばさ~、この前A美が鈴木に告られたらしいよw
沙那ちゃん
沙那ちゃん
えっ、何それ!w
どこで聞いたの⁉
女子
女子
A美が言いふらしてた~w
沙那ちゃん
沙那ちゃん
そりゃ言いふらしたくもなるわなw
…ほら、やっぱりついていけてない。
沙那ちゃん
沙那ちゃん
音羽ちゃん知ってた?
音羽
音羽
あ、ううん!知らなかった!
沙那ちゃん
沙那ちゃん
だよね~!
やっぱりクラス違うからかな?w
女子
女子
かもねw
沙那ちゃん
沙那ちゃん
あっ、私こっちだ!
みんなまた後でね!
沙那ちゃんが手を振って、走って行った。
女子
女子
あ、私達もこっちだ!
悠木さんまたね~
音羽
音羽
うん!
手を振って行った。
女子
女子
…沙那ちゃんって、なんで悠木さんと一緒にいるんだろうね(小声)
女子
女子
別に面白くないよね、あの子(小声)
…また始まった。
私は、沙那ちゃんがいないところで、よく陰口をされる。
沙那ちゃんは、年齢を問わず、いろんな人と仲が良いので、沙那ちゃんについての陰口は聞いたことがないけど、私が標的にされる。
でも、陰口を言われるのも仕方なかった。
私は、何の取り柄もない、平凡な中学生。
私だって、なんで沙那ちゃんが一緒にいてくれるのか、全く分からない。



沙那ちゃん
沙那ちゃん
音羽ちゃーん!一緒に帰ろ~!
授業が終わった後、沙那ちゃんに声をかけられた。
音羽
音羽
うん!
女子
女子
沙那ちゃーん、まだ?
沙那ちゃん
沙那ちゃん
ごめん!準備出来たから行こ!
あ、音羽ちゃんも一緒だけどいい?
女子
女子
…あー、いいよ全然
沙那ちゃん
沙那ちゃん
良かった!音羽ちゃん行こ!
音羽
音羽
う、うん!
…やっぱり、他の子には好かれない。
どうすればいいのかな…
私はこの時、まさか誰かに見られてるとは思いもしなかった。

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