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第5話

見返り
お母さんと呼んだら、
物凄い剣幕でメンチを切られた。
あなた

ふふっ、ごめんなさい

私は謝りながらも、席に着く。

しばらくして、朝食が運ばれてきたのだが、
和食のフルコースだった。
あなた

大根の葉っぱのお味噌汁に、
ぶりの照り焼き、だし巻き卵……! 
すごいっ、おいしそうっ

富藤 光牙
富藤 光牙
黙って食え、さっさと帰れ
さっさと帰れなんて言いながら、
食事まで用意してくれて……。

富藤くんは、なんだかんだ
面倒を見てくれている。
あなた

いただきます

お腹いっぱい食べたあと、
私はお暇することになった。

玄関で靴に履き替えると、
改めて富藤くんに向き直る。
あなた

本当に本当にありがとう。
富藤くんは、私の命の恩人です

富藤 光牙
富藤 光牙
大げさなんだよ
あなた

そんなことない! 
素通りしちゃう人もいる中で、
富藤くんは足を止めてくれた

富藤 光牙
富藤 光牙
だから、それは──
あなた

損得勘定なしに、
困ってる人をほっとけない、
優しい人なんだね

富藤くんの言葉を遮って、
思ったことをそのまま告げる。

すると、富藤くんは「はーっ」と
長く息を吐いた。
富藤 光牙
富藤 光牙
わかってねえみたいだな
あなた

え?

富藤 光牙
富藤 光牙
助けた見返り、
誰がもらわないって言ったよ
富藤くんは私の手首を掴んで、
玄関の扉に押さえつける。
富藤 光牙
富藤 光牙
一宿一飯の恩義、
お前はなにをして返してくれんだ?

(そうだよね。お返し、
なにをすればいいかな……)

至近距離にある富藤くんの目を見つめながら、
私は思考を巡らせて……。
あなた

なんでもします! 
富藤くんがしてほしいこと、
教えてください!

(本人に聞くのが、いちばんだよね)

そう思って尋ねると、
富藤くんは『信じられねえ』という顔をした。
富藤 光牙
富藤 光牙
天然か。
お前と話してると、調子狂う……
富藤くんは疲れた様子で、私から手を放す。

それから、しっしと手で私を追い払う仕草をした。
富藤 光牙
富藤 光牙
帰れ
あなた

あ、この恩は必ずや、
お返しします!

富藤 光牙
富藤 光牙
鶴の恩返しかよ。
いいから、行け
私は最後にぺこりと頭を下げて、
富藤くんの家をあとにした。

***

数時間後──。

一旦、家に帰ってから学校にやってきた。
由真
由真
そこの病弱ムスメ、
朝帰りとはやるねえ
窓側のいちばん前の席に座っている
親友の由真ゆまが椅子を反転させる。

そして、すぐ後ろの席にいる私のほうを向くと、
ニヤニヤしだした。
あなた

誤解される言い方はやめて!

私は昨日の出来事を親友に報告していたのだけれど、由真は完全に面白がっている。
由真
由真
家族に怪しまれなかったわけ?
あなた

朝、お母さんと会ったけど、
昨日は友達の家に泊まるって
メッセージ送ったから、全然

首を横に振ると、由真は残念そうな顔をする。
由真
由真
なーんだ、
修羅場にはならなかったんだ?
あなた

人の不幸を期待しないで!

由真
由真
あはは、そうこう言ってるうちに、
本人登場だよ?
由真の視線を辿るように、
教室の入り口を見ると──。
富藤 光牙
富藤 光牙
邪魔だ。そこに溜まるな。
さっさとどけ
富藤くんが教室の入り口に集まっていた
女子と男子のグループに啖呵を切っていた。