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そう言うテヒョンの顔。
笑っている。
やっぱりテヒョンの字だった。
テヒョンが待っている気がした。
テヒョンがいてくれないかなって、
ずっと、思ってた。
わかってるけれど、
わざと分からないふりなんてしちゃって。
だって、あなたの口から
出してほしいんだもん。
暖かい日差しに包まれ、
春のまどろみが流れる中、
四角い口で、
私への愛を呟くテヒョンは、
とても、輝いていた。
私は、
いつから、
あなたを好きなんだろう。
2年前。
メイドのポケットから落ちた1枚の写真。
写真の後ろにあった名前。
『 キム・ テヒョン 』
メイドに写真の人について尋ねたのだ。
『この方は?』
「防彈少年團のメンバーの1人です、。」
『この方が…好きなの?』
「わたくしは、そうです、。とても、かっこよくて…」
『えぇ…そうね…』
思わず目を奪われたものだ。
黒いシックな服装を身にまとい、
なんともいえない色気を放つその写真1枚で、
私はあなたが、
好きになっていた。
気がつけば、
部屋に閉まってある写真やグッズも、
テヒョンの物ばかり。
いつの間にか、
気がつけば、
無意識にテヒョンばかりを見ていた。
笑ってしまう。
こんな、今更気づくなんて。
前からなんと大胆なハグ。
テヒョンの匂いと熱が、
身体に染み込んでいく。
上を見れば、
頬が真っ赤なテヒョンが私を見てる。
唇が重なる。
段々と激しくなっていく、
2人の舌。
春のまどろみは、
2人によって動きを変えた。
あの写真で見るだけの人は、
執事としてしか見てはいけなかった人は、
他の女の子に愛を振りまく人は、
今日、私のものになった。
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……To be continued
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!