第10話

第二章 簡単に広まる噂話
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2024/02/03 01:37 更新

あの日から数日経った。

あれから、何度も白巖山に足を運んだが鬼幽やあのおばあさん達に会えることはなかった。
神代 あかり
(鬼幽、大丈夫かな……)
神代 あかり
(今日も白巖山に行ってみようかな)

今日から休校になっていた学校が再開するため、制服に着替え終わった後
自分の机に突っ伏しながら悶々もんもんと鬼幽のことを考えていた。
神代 紗夜
あかりー!晃生くん来てるわよー!

そんな時、1階からお母さんの私を呼ぶ声が聞こえてきた。
神代 あかり
え、晃生が?
神代 あかり
(なんでだろう、もしかして壁男のこと覚えてるとか?)

不思議に思った私は急いで階段を下りる。

すると、お母さんと晃生は玄関先で楽しそうに談笑をしていた。

私の気配を察知したのかお母さんから目を逸らした晃生と視線が絡み合う。

前原 晃生
あかり今日一緒に行かね?

晃生がこんなことを言うのは何年ぶりだろうか。
神代 あかり
(小学生の頃は毎日一緒に登校してたなぁ)
と、昔のことを思い出し懐かしい気持ちになった。
神代 あかり
いいよ、鞄取ってくるね
前原 晃生
おう


私は晃生を待たせないように、足早に自室へ戻り、鞄を手に取って玄関へ戻った。

私がローファーを履いているとき、生暖かい視線を感じ顔を上げると

お母さんが顔を綻ばせながら私を見ている。
神代 あかり
なに?お母さん
神代 紗夜
んふふ、なんでもないわよ〜
神代 紗夜
ほら晃生くん待ってるんだから早く行きなさい
神代 あかり
……いってきます
神代 紗夜
は〜い、いってらっしゃい
     *


私と晃生は学校に向かって歩き出した。
神代 あかり
晃生、行方不明になってたって聞いたけど大丈夫なの?
神代 あかり
体調とか

晃生は壁男に掴まれていたし、私が見た炎の塊おそらくあれはたましいだったのだろう。

そんなものが体から出て、体調は大丈夫なのかずっと気がかりだった。
前原 晃生
あぁ、気失って目覚めたら病院でよ
前原 晃生
ちょっと体が痛いぐらいであとは何とも無かったぜ
神代 あかり
よかったぁ…
私は安心し、こわばらせていた体から力を抜くように息を吐いた。
前原 晃生
なに、俺のこと心配してくれてたん?
神代 あかり
当たり前でしょ、幼馴染みなんだから
前原 晃生
へー
神代 あかり
なにその反応、本当に心配したんだからね!
前原 晃生
ははっ、んなもん分かってるって
前原 晃生
悪かったな、心配かけて
神代 あかり
今度アイス奢ってくれたら許してあげる
前原 晃生
チョコのやつ?
神代 あかり
うん、新作出てるらしいからそれ食べたい
前原 晃生
相変わらずアイス好きすぎだろお前

晃生がそう言って笑うので、私もつられて笑った。
朝の新鮮な空気を吸いながら、晃生と他愛もない話をして歩く通学路は楽しかった。

*
学校につき、二人で教室へ向かいドアを開けると

クーラーの冷たい空気が教室から流れ出るのと共に、クラスメイトの視線が私たちに集まった。
神代 あかり
(え、私何か変かな?)
不思議に思いながら自分の席へ向かうと、後ろから背中をつつかれた。
辻 百合香
おはよ〜、あかり久しぶりだね!
神代 あかり
百合香!
私は百合香が生きている喜びを噛みしめるように、思い切り抱きついた。
神代 あかり
行方不明になったって聞いて心配したんだよ
神代 あかり
体調は大丈夫なの?
辻 百合香
うん、何ともないよ〜
辻 百合香
それよりさ、今日前原くんと登校してたけど
辻 百合香
二人が一緒に来るの珍しいね何かあったの?
神代 あかり
何もないよ、今日はたまたま一緒に登校しただけ
辻 百合香
ふーん、そうなんだ…
辻 百合香
あ、数学の課題やった?
神代 あかり
したよ?なんで?
辻 百合香
一生のお願いです、私に数学の課題を見せてください!

百合香はお得意の胸の前で手を合わせ、拝むようなポーズで私を見つめてくる。

いつもなら、百合香ためだ。と心を鬼にして課題は自分でやらせるのだが
あんなことがあって、課題どころではなかったのだろう。今回ぐらいはいいか。
神代 あかり
いいよ、今回だけね
辻 百合香
ありがと〜、数学苦手だから助かる
百合香に数学の課題を見せながら問題の解き方を教えていると
前原 晃生
あかり、俺も数学の課題してなくてさ見せてくんね?
神代 あかり
え…いいよ、なんか珍しいね
前原 晃生
今回たまたまやるの忘れてたんだよ
前原 晃生
マジ助かるわ、サンキュー

その日、晃生は今まで話せていなかった分を取り戻すかのように話しかけてきた。

こんなに一日に一人の人から名前を呼ばれたのは初めてだと思う。

特別教室の授業で席の指定がない時は私の横に座るし、休み時間には必ず私のところに来る。


あまりの距離の近さから
辻 百合香
え、二人とも付き合ってるの?
と、百合香やクラスメイトに聞かれたぐらいだ。


*
神代 あかり
はぁ……私なんかやらかしたかな?
昼休み、部活の顧問に呼び出され職員室に行くため廊下を歩いていた私がある空き教室の前を通りかかると
生徒
ねぇ、知ってる?前原くんと神代さん付き合ってるらしいよ

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