あの日から数日経った。
あれから、何度も白巖山に足を運んだが鬼幽やあのおばあさん達に会えることはなかった。
今日から休校になっていた学校が再開するため、制服に着替え終わった後
自分の机に突っ伏しながら悶々と鬼幽のことを考えていた。
そんな時、1階からお母さんの私を呼ぶ声が聞こえてきた。
不思議に思った私は急いで階段を下りる。
すると、お母さんと晃生は玄関先で楽しそうに談笑をしていた。
私の気配を察知したのかお母さんから目を逸らした晃生と視線が絡み合う。
晃生がこんなことを言うのは何年ぶりだろうか。
と、昔のことを思い出し懐かしい気持ちになった。
私は晃生を待たせないように、足早に自室へ戻り、鞄を手に取って玄関へ戻った。
私がローファーを履いているとき、生暖かい視線を感じ顔を上げると
お母さんが顔を綻ばせながら私を見ている。
*
私と晃生は学校に向かって歩き出した。
晃生は壁男に掴まれていたし、私が見た炎の塊おそらくあれは魂だったのだろう。
そんなものが体から出て、体調は大丈夫なのかずっと気がかりだった。
私は安心し、強ばらせていた体から力を抜くように息を吐いた。
晃生がそう言って笑うので、私もつられて笑った。
朝の新鮮な空気を吸いながら、晃生と他愛もない話をして歩く通学路は楽しかった。
*
学校につき、二人で教室へ向かいドアを開けると
クーラーの冷たい空気が教室から流れ出るのと共に、クラスメイトの視線が私たちに集まった。
不思議に思いながら自分の席へ向かうと、後ろから背中をつつかれた。
私は百合香が生きている喜びを噛みしめるように、思い切り抱きついた。
百合香はお得意の胸の前で手を合わせ、拝むようなポーズで私を見つめてくる。
いつもなら、百合香ためだ。と心を鬼にして課題は自分でやらせるのだが
あんなことがあって、課題どころではなかったのだろう。今回ぐらいはいいか。
百合香に数学の課題を見せながら問題の解き方を教えていると
その日、晃生は今まで話せていなかった分を取り戻すかのように話しかけてきた。
こんなに一日に一人の人から名前を呼ばれたのは初めてだと思う。
特別教室の授業で席の指定がない時は私の横に座るし、休み時間には必ず私のところに来る。
あまりの距離の近さから
と、百合香やクラスメイトに聞かれたぐらいだ。
*
昼休み、部活の顧問に呼び出され職員室に行くため廊下を歩いていた私がある空き教室の前を通りかかると












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。