山道は人が通るためか足場がしっかりしていて登りやすい。
だが、山の木が生い茂っていて太陽の光が当たらず、薄暗い道が続いている。
加えて、この山に入った瞬間に感じた異様な空気。背筋を何かが伝うような気味の悪さ。
あれは壁男の時と同じだった。
ーーこの先に、妖怪は確実にいる。
生い茂った木々の間を抜けるとひらけた土地に出た。
そこには大きな池があって、その池の周りには清らかな白い花が咲き誇り、そよ風に揺れる木々が美しい音色を奏でている。
私は、その美しさに魅了されて、何かに呼び寄せられるかのように池を覗き込んだ。
水面は、水晶のように澄み渡り、夏の陽光に煌めいている。
遠い水は瑠璃色で、とても美しいが不気味なまでに水底が見えない。
不気味な感じなのかと思ってた。
そう言いかけた時、水面に映っていた自分の顔が見る見るうちにやせ細って、最後には骨となり
池から頭蓋骨が水しぶきを立てながら上がってきた。
驚きのあまり、尻もちをついてその場に倒れ込む。
それを絶好の機会だとでも言うように、頭蓋骨が大きな口を開きながら、こちらに向かってくる。
そう思った時だったーー。
瞬きする間に、横から繰り出された拳が頭蓋骨を粉々に砕いた。
その声で、我に返って立ち上がると、先程までの清らかな花は枯れ落ち
池は青が色落ちて汚い緑色になっていることに気がつく。
そして、池の中からいくつもの頭蓋骨が飛び出し襲いかかってきた。
私は、反射的に襲いかかってきた頭骸骨を矢で突き刺し地面に叩きつけるようにして砕く。
混乱して、念仏を唱える私を見て夜鈴は楽しそうに声を上げて笑う。
噛まれたくない、痛いのは嫌だ。その一心で
次々と、襲いかかってくる頭骸骨を必死に砕き続ける。
鬼幽がそう呟いた時だった、池から細くて黒いなにかが伸びてきて、鬼幽の動きを封じるように両手首に巻きついた。
鬼幽がいつも身につけている、耳飾りから二つの炎が出てきて、鬼幽の両手首に巻きついた黒いなにかに近づき、それを燃やした。
黒いなにかは、灰になり地面に落ち、鬼幽の両手は自由になった。
それに安心したのも束の間ーー。
池の中から、千、二千…数え切れないほどに沢山の頭骸骨が襲いかかってきた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。