第11話

笑顔ですべてを隠した
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2024/02/03 01:40 更新

空き教室の中から私と晃生の名前が聞こえてきて、思わず足を止めた。

どうやら、この教室でいつも昼食を食べている他のクラスの女子グループが、私と晃生の噂話をしているらしい。
生徒
朝から2人が一緒に学校来るところ見かけたんだけどさ
生徒
仲良さげにぴったりくっついて歩いてたよ
生徒
えっ、マジで!?
神代 あかり
(いや、確かに一緒に歩いてはいたけどぴったりくっついてはないよ、断じて。)

と、心の中で噂話を否定するが
女の子によって脚色された話で教室の中では大きな歓声が上がった。
生徒
まさかあの2人が付き合うとは思ってなかったわー
生徒
ほんと意外なふたりだよねっ!

私は心の中でため息をつく。

なんで、みんな男子と女子が少し一緒にいたぐらいで「好きだ」とか「付き合ってる」って思うんだろ。

呆れて反論する気にもなれない。
生徒
私ふたりが喋ってるところ今まで1回も見たことなかったんだけど……

グループ内の一人の女の子が不機嫌そうな声でそう言い放った。
その一声で、噂話の雲行きが怪しくなる。
生徒
なに?前原くんのこと狙ってたの?
生徒
気になってたんだよね、一年の時から
生徒
あー、その気持ち分かるわぁ。前原くん顔良いしさ、この学校にもスポーツ推薦で入学してるしかっこいいよね
生徒
そう、だからなんであの子なのって思ってる
生徒
でも、神代さんも確かスポーツ推薦だったよね?弓道で入学したんだっけ?
生徒
ちょっと前にさ、テレビとか雑誌にもよく出てたよね神代さん

どくどくどく、それまでは何ともなかった私の心臓が痛いぐらい脈打ち始めた。
生徒
え、まじ!?そうなの?初めて知った。
生徒
なんだっけ、百射百中だっけ?凄い弓が上手いってテレビで言われてた

早くここから立ち去ろう。
ここから先の話は聞かない方がいい、知らない方がいい。

頭ではわかっているのに、体が動いてくれない。
生徒
あっ、思い出した。それ私も見たことある!
生徒
でも、私がこの間弓道部で神代さん見かけたとき全然まとにあたってなかったよ
生徒
なんかー、何年か前からスランプらしくて。大会にも出てないらしい
生徒
えー、それで良く高校に推薦で入学できたよね
嘲笑ちょうしょう気味に笑う女の子の声が教室内に響いた。
生徒
私たち苦労してこの学校に入学したのにさ
生徒
ほんと、ソレなんだけど。いつまでも過去の栄光にしがみつくのやめてほしいよね
生徒
性格もあんまり良さそうじゃないよね、私は他の人とは違いますって天才気取ってる感じがする
生徒
わかるわー、絶対そうだよ。なんであの子なんだろうねホント
生徒
あははっ、ちょっとうちら悪口言い過ぎじゃない?
生徒
でも、実際つり合ってないじゃん?

キンキンと刺し貫くように耳鳴りが鳴って頭が痛い。
鼓動こどうが激しくなるにつれて、息が荒くなる。

そんな時、教室の中でわっと湧き上がるような笑い声が上がった。
今なら足音を立ててもバレないだろうとうつむきながら歩き出す。
俯いて自分の鼓動を落ち着かせるのに必死で、前から歩いて来た人にぶつかってしまった。
神代 あかり
あっ、すみませ…
少し顔を上げると、見慣れた赤い髪が見えて髪の色と同じ赤みがかった瞳と目が合った。
前原 晃生
あかり?
前原 晃生
どうした?顔色悪いぞ
神代 あかり
(今、私酷い顔してるんだろうなぁ)

これ以上そんな顔を他人にさらしたくないと思った私は

無理に声を出したせいか小声にはなったが‪「別になんでもない」と言ってその場を立ち去ろうとした。
だが、晃生はそれを許してくれない。

立ち去ろうとした私の手を掴んで離さなかった。

前原 晃生
なんでもない訳ないだろ…、何かあったのか?

慰めるような優しい声に、鼻の奥がツーンと痛んで今まで抑えていた感情が溢れ出しそうになった。
神代 あかり
(駄目だ…泣くな私、我慢しなきゃ。)

すんでのところで、俯き唇をぐっと噛んで感情を抑え、泣きそうになったのを隠すように笑顔を作った。

きっとこれは私の悪い癖で、それと同時に私なりのでもあった。
神代 あかり
ほんとに何でもないから大丈夫、平気。
神代 あかり
じゃあ私、顧問に呼ばれてるから行くね

そのまま、晃生の顔を見ないようにしてその場を立ち去った。


白木 椿紀
白木 椿紀
ここまでお読みいただきありがとうございます☺️🤍
白木 椿紀
白木 椿紀
この度、皆さまのおかけでチャレンジ作家に採用していただくことになりました!
白木 椿紀
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本当にありがとうございます🙇🏻‍♀️

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