第12話

異国少女は好敵手?
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2024/01/13 11:50 更新

音もなく吐き続けた息を止め、体と弓が一体になる、その時を待った。

少しして、自然と離れた矢が空気を切り裂き、タン、という音を立てて的の真ん中にあたった。

その瞬間、静かな緊張感に包まれていた空間に歓声が巻き起こった。
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やりました!脅威の13歳、神代くましろあかり選手!
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体配、射型、的中全てにおいて完璧です!まさに「奇跡の一射」でした!
私は、昔弓を引くのが得意で、当時は「天才」「神童」「百射百中の少女」だとか色んなことを言われてた。

でも、今の私はーー。


松村 勧
神代、今度大会があるって話聞いてるか?
神代 あかり
はい、この間部長から聞きました
松村 勧
それで、その大会なんだが……俺は神代に出場してほしいと思ってる
神代 あかり
え?私が?
松村 勧
もちろん無理にとは言わんが……

今回大会に出場できる女子の人数は5人、うちの弓道部で活動をしている女子はその倍以上いる。

しかも、全員私より的中率は高いはず

なのになんで私なんだろう。
神代 あかり
(きっと、松村先生は今の私じゃなくて昔の私を見て出場してほしいって言ってるんだろうなぁ)
大会に出場してほしいのは、今の私じゃなくて昔の天才と呼ばれた私。

でもね先生。今の私は、昔みたいな「奇跡の一射」って呼ばれた矢は
神代 あかり
(射れないんだよ、先生……)
松村 勧
まあ、まだ時間はあるから別の日に返事を聞かせてくれ
松村 勧
あと、今日は部活ないから弓持って帰って家で練習をしておくように
神代 あかり
分かりました、ありがとうございます
松村先生は、コーヒーが入ったカップを片手に持ちながら
松村 勧
おう、頑張れよ。神代には期待してるからな
と言った。私はその言葉に対しては何も返さず一礼をして職員室を出た。

*
学校が終わり、家が反対方向にある私と百合香はいつも通り校門のところで別れようとしていた。
神代 あかり
じゃあまた明日ね、百合香
辻 百合香
ん、あかり1人で帰るの?
神代 あかり
そうだけど、なんで?
辻 百合香
えー、前原くんと一緒に帰らないの?
神代 あかり
なんで、私が晃生と帰らなきゃいけないの?
辻 百合香
え、だって…2人とも付き合ってるんじゃないの?
また、その話かと私はため息をついた。
神代 あかり
さっきも言ったけど付き合ってないし
神代 あかり
まず、晃生のことそういう意味でみてないよ
百合香は、私の話を信じていないのか口元を緩ませながら疑うような目で私を見てくる。

私はその態度に少しむっとして

百合香の表情を真似しながらこう言ってみた。
神代 あかり
そんなこと言って、ほんとは百合香が晃生のこと好きなんじゃないの〜?
辻 百合香
えっ……
神代 あかり
え?
私は冗談のつもりで言ったのだが、百合香はその言葉に驚いたかのように固まってしまった。
神代 あかり
もしかして、図星……?

私と百合香の間にしばらく沈黙が続く

そんな時、百合香が今まで我慢していたものを吹き出すようにお腹を押さえながら大口をあけて笑い出した。
辻 百合香
あはっははは、そんなわけないじゃん!
辻 百合香
冗談だよ〜!
神代 あかり
もう、一瞬マジなのかと思ってびっくりしたじゃん!
辻 百合香
ごめんて、ちょっとからかいたくなって
神代 あかり
でも、ほんとに好きな人ができた時は教えてよ
辻 百合香
うん、あかりも好きな人できたら教えてね
辻 百合香
じゃっ、また明日!
神代 あかり
うん、またね!

*
自宅の近くまで来ると家の表札を、ジッと見つめる青紫色の髪にチャイナ服を着た女の子が立っていた。

知り合いかと思ってしばらく様子を見ていたがその女の子に見覚えはない。

私の視線に気づいたのか、女の子がこっちを向いて赤色の瞳と目が合った。
.
你好ニーハオ
.
神代あかりて知てるか?
神代 あかり
あ、それ多分私です
神代 あかり
(誰だろう、この子……)
.
ふーん
女の子は、腕を組みながら私の体を上から下まで品定めをするようにしげしげと見てくる。

その女性独特の敵視するような視線に、私は不快感を感じた。
.
お前が鬼幽を運んだか?とてもそんな力があるようには見えないね
神代 あかり
え、鬼幽のこと知ってるんですか!?
.
知てるも何も、ワタシ鬼幽の……

女の子が、何かを言いかけた時今私がいちばん聞きたかった声が聞こえてきた。

柔らかくて低い声。
鬼幽
夜鈴イーリン
その声が呼んだ名前は私のじゃなくて、別の女の子の名前だったけど

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