第3話

you2。
804
2020/04/07 03:34
早速人気者になりかけてる

転校生君が担任に席を指定される。

「暇だなー」と手に顎を乗せて

足をぶらつかせていると、
うらたぬき
うらたぬき
紫薔薇さん?
よろしくな!
私の隣の席に腰を下ろしながら

爽やかスマイルで話しかけて来た転校生君。

隣なのね……。

よくよく考えれば私がクラスで疎まれすぎて

常に1人席だから空きは私の隣しか無くて

隣になるのは必然だった。
(なまえ)
あなた
ん。……よろしく。
チラッと一瞥して小さく挨拶すると

視線を元に戻す。

別に特に会話しなければいっか。


授業になり、教科書を開く。

仲間からサボりの誘いは来てない。

2日に一度くらい誘われては

仲を悪くしたくないと仕方なくサボっている。

サボった分も含めて予習復習は完璧なので

成績に影響することはない。

関心意欲態度とかが削られるだけ。


私がボーッとしていると横から肩を叩かれる。
うらたぬき
うらたぬき
あのー紫薔薇さん。
俺、教科書まだもらってないから
見せてくれない?
え、マジか…。

使えんな、あの担任。

私の教科書は予習復習で書き込みだらけ。

人に見せるの、申し訳ないな。
(なまえ)
あなた
汚いけど……どぞ。
転校生君が机を寄せて来たので

私は2つの机の真ん中に教科書を置く。
うらたぬき
うらたぬき
ありがとう……って!
凄い書き込みしてあるね!
めっちゃ字綺麗だし分かりやすっ!
教科書を見せるなら大きめの声で

褒め称えてきたので

恥ずかしさと嬉しさが込み上げる。

と、同時にクラスの注目を集めかねないので

転校生君の口を慌てて押さえる。
うらたぬき
うらたぬき
紫薔薇さんめっちゃ真面目……
(なまえ)
あなた
はいはいありがとね。
嬉しいけど声デカいから静かにして?
私が目で軽く威圧すると

転校生君がブンブン首を縦に振るので手を離した。
うらたぬき
うらたぬき
……分かった、ごめん。
そして少ししょげた。

何か私が悪いみたいじゃん。


それからも転校生君は頻繁に話しかけて来た。

毎時間、毎日。

彼は真面目で何よりかっこいいので

すぐにクラスの中心メンバーになり、

バスケ部に入って更に学校中に人気が広がった。

なのに私に頻繁に話しかけて来る。

私以外に相手をしてくれる人なんて

男女共に沢山いるのに。

何かと私に聞いて来て、褒める。

ほんと、何なんだ。


私と話す転校生君、うらた君はずっと嬉しそーで。

だけどその目にはどこか影があって。

私は彼のことが全く分からないまま1ヶ月過ぎた。

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