第20話

you 10。
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2020/06/28 16:55
うらた君のお土産問題も解決し、

私もお父さんへのお土産を選び終えた。

2人でお会計の列に並び、順番を待つ。

それにしてもお父さんにだけ買うとか

ファザコンか、私は。

別に他に買う人いないだけだし。


ふと並んでいて視線を巡らせると一点で止まった。

ご当地限定、可愛い犬のキーホルダー。

まじまじ見ると作りも丁寧そうで綺麗だ。

値段こそ高いけど欲しい。

でも高校生にもなって自分に買うとか。

それにうらた君の前で堂々と買いたくないし。

でもあれ可愛い。

お金有り余ってるし別に買っても…?

……いーや、無駄遣いはしない。

ギャル仲間と一緒にいるには結構お金がいる。

すぐ飲み食いするしアクセやコスメを買うし。
うらたぬき
うらたぬき
…あれ、欲しいの?
気付かぬ内に気持ちが声に出てしまってたのか

うらた君が私が欲しいと思ってる

キーホルダーに視線を送りながら言う。

は、恥ずかしい…!
(なまえ)
あなた
えっ!…いや、別に自分用の
お土産とか要らないから…。
慌てて誤魔化し、視線を戻す。

それからうらた君はそれ以上

言及してこなかったので

黙って列の流れに従い、お会計した。
(なまえ)
あなた
…よし、集合場所行こっか。
うらたぬき
うらたぬき
…待って。
先生の待つ集合場所の方へ歩き出そうとしたら

うらた君に引き止められる。
(なまえ)
あなた
えっと…どーかした?
何か買い忘れとか?
うらたぬき
うらたぬき
いや、違うよ。
………これ。
(なまえ)
あなた
え…?
うらた君に渡されたのは出てきたばかりの

お店のロゴがプリントされた小さな紙袋。

そっと開けると中には私が欲しかったキーホルダー。
(なまえ)
あなた
え、これ……!
うらたぬき
うらたぬき
……お節介かとも思ったんだけどさ。
紫薔薇さん、自分に何も
買ってなかったから。
それは俺からのお土産、プレゼント。
そー言って少し照れ臭そうに笑ううらた君。

自分から仕掛けといて照れてるタイプだ。
(なまえ)
あなた
………ありがとう。
いつもの短く語尾を切ったテキトーなのじゃなくて。

久し振りな感じのする"ありがとう"。

前にも、修旅の班決めで誘ってもらった時に

言ったお礼と笑顔より更に優しく心を込めて。

私も恥ずかしくなるくらい笑ってお礼をした。
うらたぬき
うらたぬき
…!…喜んでもらえたなら、良かった。
お互い恥ずかしさと微妙に縮まった気のする

距離感を感じつつ、改めて集合場所に向かった。


長かったような、短かったような。

色々と刺激の多かった

ちょっと不思議な修学旅行だった。


うらた君に感じるこの気持ちは、一体_________?

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