書類を早々に提出し、今日から入部。
練習前に挨拶をすることになった。
脳内で作成した原稿を読み、
笑顔を向けた後お辞儀をした。
部員やマネ達の反応は上々だった。
片付けまで終えて1番乗りで身支度の終わった
坂田君が駆け寄って来た。
心なしか声が弾んでいるよーに感じる
彼に返事をし、荷物を取って元に戻った。
うらた君も来て学校を出る。
3人横に並び、今日の部活話に花を咲かせる。
今日はマネの仕事と物の置いてある位置の説明、
軽い仕事をいくつかこなした。
元々いたマネは3年1人、2年1人、1年2人。
皆明るく仕事が出来るタイプで、
今までこの人数でもやってこれたのにも納得がいく。
正直ギャルな私だがやる以上は
真剣にやりたいので髪は上で結い、
ネイルとつけまは外しておいた。
後輩、入部順的には先輩マネ達は
私の見た目は関係なく接してくれて良い子達だった。
しばらく真面目な部活動に無縁だったが、
いざ活動するとマネでも充実感を味わえた。
不純な目的とは言え頑張れそーだ。
…と、今日思ったことを2人に話した。
すっかり分かれ道になり、
それぞれ自分の家へと歩を進めた。
次の日の放課後は部活がない。
体育祭実行委員会があるからだ。
クラスで全く仕事をしないのは数人で、
大多数は何かしらの役職をこなさなければならない。
高校に入ってからは何もしてこなかった私だが、
例によって体育祭にまで
真面目に参加することになっていた。
今日は顔合わせと軽い打ち合わせ。
知り合いなどいるはずもないと
同クラの男子の横に座ろうとしたら
相変わらず変なとこでしっかりお腹から出した
とんでもない声量を発揮する赤髪の彼。
彼の声量と人気はかなりのもので
周りの視線を一気に集める。
中には刺すよーな目をした女子もいて中々に怖い。
興奮冷めあらぬ彼を席に着かせ、
自らも座って資料に目を通す。
私の対面に座った坂田君は資料を見ずに
私の顔を満面の笑みで見つめて来る。
彼の隣にいる子を始めとした
女子の視線が怖いのでやめて欲しいんだけど…。
……体育祭もまた、一悶着ありそうだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。