何かおかしいと思った。
でもしばらくは動けなかった。
バスケ部の休日練。
ドリンクを取りに行ったはずのあなたが
帰ってきてないらしい。
マネージャー「部長!あなた先輩が
20分も帰って来ません!」
マネージャー「そんなに時間のかかること
じゃないのに…。」
部長「まさかサボりかあ?」
マネージャー「まさか‼︎あなた先輩は
そんな人じゃありません‼︎」
部長「そうだよな。でも全員で探す訳には…。」
誰かが探しに行く、と言う方針で
まとまったようだが問題は誰が行くか。
そこですぐに名乗りを挙げたのは坂田。
あなたに関する時に見られる本気の目をしてる。
俺だって負けてられない。
部長「2人で大丈夫か?」
心配そうなマネ達に声を掛け、
俺と坂田はお互い反対方向へ走って行った。
まずは部室に向かった。
あなたが来た形跡は見当たらず、
別の場所を探すことにした。
それから部室周りを1周し、
どこにもあなたの姿がないことを確認した。
残るは体育館裏。
ショートカットのために体育館へ
足を踏み入れようとしたその時。
よろけながら金髪を揺らすあなたに
声を掛けようとしたら
妙にガタイが良く遊び呆けてばかりいそうな
男達があなたの後ろに迫っていた。
しばらく様子を見ようとしたが、
男達に腕を掴まれて
涙を浮かべるあなたを見たら_______
思わず体が動いた。
あなたを背中に匿うと向かってくる男達の攻撃を流し、
顎やら溝落ちやらに拳を入れてやった。
男「…ハア?このチビ、強……。」
男「んだよ、だりーな‼︎」
俺の1.2発で沈んだヤツらは
捨て台詞だけ吐いて去って行った。
あなたは大きな瞳に溜めていた涙が、
男達がいなくなった途端溢れ出した。
一瞬どうしようか戸惑った。
紫薔薇さん。
そう呼んで慰めようと思ったが、いざ口を開いたら
自分でも思いもしない言葉が飛び出して行った。
気付いた時には制御なんて効かなくて。
言葉を紡いだ後には_________
あなたの華奢な体を強く抱きしめていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。