⚠ラウ猫化
めめあべは付き合ってます。
白side
僕はラウール。真っ白な毛並みが綺麗な白猫だ。
きっと人間だったら、全人類が惚れちゃうくらいカッコイイ。
これは嘘じゃないよ?だってご主人様が僕にいっつも言ってくれるんだもん。
ってね。
でもそんなご主人様もすっごく可愛いんだよ。
僕を拾ってくれたあの日、一目惚れしちゃったんだ。
ボロボロの薄汚い僕を拾ってくれた時も、「俺の家、くる…?」って首をあざとく傾げちゃってさ。
その日コンビニってとこで買ってきてくれた餌、猫用じゃなくて犬用だったのも、天然、って感じで可愛かった。
それに、ご主人様はすっごく優しい。
優しすぎて自分が辛くなるんじゃないかってくらい。
でも1回、本当にそんなことがあったよね。
お外が真っ暗な時に帰ってきて、目とか鼻が真っ赤だった。
泣いたのが一目瞭然だったよ。
その時お酒の匂いもしたから酔ってたのかな?
って泣きながら僕を抱きしめたもんね。
それでそのまま、その日あったことをお話してくれたの。
それが優しすぎて自分がツラい思いしたって話でさ。
でもご主人様は気付いてなさそうだった。
自分が優しすぎるのも、それが原因なことも。
本当は「大丈夫だよ」って声をかけてあげたかった。
でも、僕は人間の言葉はわかるけど、人間の言葉は喋れないから。
としか鳴けなかった。
それがとっても悔しくて。
本当は僕だって、人間になってご主人様の側にいたい。
ちゃんと人間の言葉で、ご主人様に寄り添ってあげたい。
ご主人様を笑顔にしたい。
だって、ご主人様のことが大好きなんだもん。
僕、知ってるよ。ご主人様がいない時、てれびで見たんだ。
人を見て心が苦しくなったり、その人のことを幸せにしたいって思うのは、恋だって。
でも、僕は猫でご主人様は人間。
だからこの恋が実らないのも知ってるよ。
でもね、だからね、ご主人様がお家にいる時だけでもご主人様が笑顔になるようにするよ。
…ご主人様がお家にいないとき、ご主人様に寄り添ってあげる人がいればいいのになぁ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。