第5話

香水の香り 【めめあべ】
2,822
2020/06/20 12:00
目黒side
目黒
目黒
おはよーございまーす…
いつものようにあいさつをして楽屋に入れば、
愛しい人の声が聞こえる。
あべ
あべ
おー目黒、おはよ
荷物を置いて、ソファに座ってクイズアプリをしている彼の隣へ座った。

アプリを覗いてみたけど、俺にはさっぱりわからない。
けれど彼はすらすらと解いていて「やっぱすごいなー」と思っていると、彼の動きが急に止まった。
あべ
あべ
…ねぇ
目黒
目黒
え、なんすか
突然話しかけてきたかと思うと、眉尻を下げてなにやら不安そうにしている。
あべ
あべ
目黒さ、香水変えた?
目黒
目黒
…え?
え、もしかしてそれだけ?
あんなに不安そうな顔をするから、俺が何かしたのかと思った…。
目黒
目黒
変えましたけど…
あべ
あべ
ほんとに?
目黒
目黒
ほんとっすよ
なんだろう、なぜこんなに疑り深いのだ。
ただ、香水を変えただけ……

そこで俺は、あることに気が付いた。
目黒
目黒
もしかして、いつもと違う匂いがしたから不安になりました?
他のやつと会ったんじゃ…とか思ったんでしょ?
あべ
あべ
っ…!? いや、ち、違うし…!!
顔を真っ赤にして否定する。相変わらず嘘が下手だなぁ…
目黒
目黒
バレバレですよ
そう言って笑うと、彼は「だって…」と口を開いた。
あべ
あべ
目黒、イケメンだし…
目黒
目黒
褒め言葉ですか?
あべ
あべ
ちが、…いやそうだけど! ほんとに不安だったんだからね!
頬をプク、と膨らませてプンスカと怒る。
俺は、あざとくていろんな人に愛想を振りまくあなたの方が心配なんですけどね。
なんて思っているとまた突然、袖をきゅ、と掴まれ、その方を見れば、彼が上目遣いでこちらを見ていた。
あべ
あべ
でもその香り、俺は好きだよ…?
目黒
目黒
っ、
そう言われると、腰の当たりがずん、と重くなった気がする。
できることなら今すぐにでも襲いたいものだが、その気持ちをグッ、と抑えていつものように振る舞う。
目黒
目黒
そう、ですか。じゃあベッドにも香水つけます?
あべ
あべ
え?なんで?
俺はニヤ、と笑って告げる。
目黒
目黒
俺がいない時、ベッドにいれば俺を感じられますよ?
あべ
あべ
…ふふ、じゃあそうしよっかな、
俺に対抗するように、彼もニヤリと笑った。

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