第17話

ご主人様が幸せなら 2
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2021/01/23 06:00
そんなことを思ってたある日、僕たちのお家に見たことの無い男の人が来た。
目黒
目黒
おじゃしま〜す…
あべ
あべ
おじゃましてくださいっ
背が高くて、髪型が特徴的で、すっごくイケメンな人。
僕と同じくらいカッコイイ。
その人は緊張してる様子で、ご主人様を迎えにいった僕を見つけて「うおっ」って驚いてた。
目黒
目黒
猫、飼ってんすね
あべ
あべ
そう、ラウールって言うの。
美人さんでしょ?
僕をひょい、と持ち上げて彼に見せる。
あべ
あべ
…もしかして猫、苦手だった?
僕からは見えないけど、多分こてん、といつものように可愛く首を傾げて言ってると思う。
その証拠に目の前の彼は頬を赤く染めた。
目黒
目黒
いやっ、全然……可愛いっすね
あべ
あべ
でしょ?ふふ、やっぱりラウは美人さんなんだぁ
まるで自分が褒められたようにそれはそれは嬉しそうな声を出す。
ちょっと荒々しいけど落ち着くいつもの撫で方をされて喉がゴロゴロ鳴ってしまう。

やっぱり気持ち〜なんて思っていると、
突然「目黒も撫でてみてよ!」とご主人様の声が頭の方から聞こえた。
目黒
目黒
え?
"目黒"と呼ばれた彼はまた驚いたような声を上げる。
でも僕も同じ気持ちだった。
あべ
あべ
毛並みもサラサラだし、絶対撫で心地いいって!
それに目黒の手って大きいし、ラウも気持ちいと思うよ?
そんなことご主人様に言われては、従うしかなかった。
僕は早く撫でろと言わんばかりに耳を倒して大人しく頭を差し出す。

彼はゆっくりと手を伸ばしてきて、触れるか触れないかのところで止まってるからもどかしい。
思わず「なぁん…」と声が出た。

それにようやく決心がついたのか、ぼすっ、と頭に手を置かれた。
少し強くて痛かったけど。
でもそれはその時だけでその後は凄く気持ちよかった。
大きな手で優しく撫でられて、ご主人様とは違うけどこれも落ち着く。
すぐにこの人は上手いとわかった。
あべ
あべ
ラウ、気持ちよさそう…
目黒
目黒
ほんとっすか?
ご主人様に褒められてなんとも嬉しそうに顔を輝かせる。
おい、僕の方見ろよ。僕がいなかったらお前は褒められてないぞ!!!
まぁそんなこと、言えるわけないけど。
でも悪い奴じゃなさそう。

それが彼の第一印象だった。

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