それから数週間後、またご主人様が泣いて帰ってきた。
理由はまたご主人様の優しさのせいで自分が傷ついたらしく、
この人は本当に心の底から優しいんだなと思った。
前世は天使か何かか?なんてふざけた事も考えちゃったけど、この前の男は助けてくれなかったのかと同時に思う。
ご主人様も彼を信頼しているようだったし、彼もご主人様を好いているようだったから。
なのに結局ご主人様は泣いてる。
あの男のこと、本当は信頼してなかったのかな?
それともあの男がなんかした?
そんなこと勝手に考えて勝手に腹を立てていると、泣き声ばかりもらしていた口から「でもね…」と言う言葉が出てきた。
それを聞いて、それまでの考えが消える。
つまり、目黒って人がご主人様を喜ばせた?助けたってこと?
じゃあこの涙は嬉し泣き???
そっかぁ、目黒はご主人様に寄り添ってあげたんだ。
優しすぎるご主人様のこと、わかってくれたんだぁ。
僕は少しだけ間を置いて、小さく鳴いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。