第5話

第五話 ドキドキさせないでくれますか?
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2020/08/24 05:00
(なまえ)
あなた
んーこの前は楽しかったなぁ
にへりと思わず上がった口角を慌てて戻す。
一週間前のあの出来事がなんだかまだ夢みたいだ。
現実のてるさんと少し仲良くなれたんじゃないかな。
結局、あの後のイベントは大盛況。
声優さんのトークショーや、大きなイベントの告知には大興奮してしまった。
てるさんは、思ってた通り優しくていい人で、イケメンさんだったなぁ。
にこにこと余韻にどっぷりひたる。
そんな私の視線の先にあるスマホには、てるさんからのお誘いが再び届いていた。
てる
てる
あめちゃん、イベントの時はありがとう。今度コラボカフェがあるらしいんだけど一緒にどうかな
あめ
あめ
もちろんです。ぜひご一緒させてください!!
もういまの私に断る理由などなかった。
だって、あんなに楽しかったのだから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
てる
てる
ゲームの生放送のイベント、一緒に行かない?
てる
てる
今度ポップアップショップがあるらしいんだけど一緒にどう?
てる
てる
新しくできたケーキ屋さんがすっごいおいしかったんだ、二人で行こうよ
気が付いたら、ゲームに関係ないことでもてるさんと会う日が増えた。
最初のころにあった不安とかもすっかりなくなってリアルでも打ち解けていった。
でも、最近はまた違うことで悩んでしまっている。
それは、てるさんにドキドキしてしまうということ。
会うたびに、服装を褒めてくれて可愛いと言ってくれたり。
さりげなく車道側を歩いてくれたり。
絶対、先に待ち合わせの場所に着いていて、私が待たされたことなんて一度もなかったりとか。
あげだしたらきりがない。
最初は、お世辞とかただ気を使ってくれているだけなのかと思ってた。
だけど、てるさんは、何度も会った今でもそれを続けてくれている。
今日も当然のように、待ち合わせ場所で私を待っていてかなわないなと思った。
あめ
あめ
……まだ待ち合わせ時間の15分も前ですけど
てる
てる
女の子を待たせるのはよくないでしょ?
あめ
あめ
……ほかの子にもやってるんですか?
思わずこぼれた一言に慌てて口をふさぐ。
つい気になって失礼なことを直球に聞いてしまった。
てる
てる
ううん、あめちゃんだけ
てるさんは、そうきっぱり言ってにっこり笑った。
ぽんぽんと大きな手が私の頭を撫でる。
あめ
あめ
……ずるいじゃん
こんなの、好きになっちゃうってば。

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