第9話

賭け
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2019/07/21 16:36
深結
深結
深結ね、トランプは好きなの。
いつでも、気軽に出来るって所が…
だから、お兄ちゃんと勝負したい♪
あなた

ああ…分かったよ…
何するんだ?

深結
深結
んーとね、スピードは無理だから…
ブラックジャックとかポーカーだね♪
あなた

そっちか!?

深結コイツの好みがとにかく意外だった。

1人暮らしとか言っときながら…
好みはそこらの駆け事に使われてる奴なのかよ。
深結
深結
よーっし、じゃあ始めよっ♪
あなた

お、おう!負けねーからな!

深結は俺と勝負が出来ることで上機嫌に
なっていると予想しながら、俺は深結に
案内される形でテーブル遊戯場所に向かった。
深結
深結
じゃあ、お兄ちゃんはそっちの椅子ね♪
あなた

了解。座らせてもらうな。

2つある椅子の1つに座る。

「いや、これはソファーだろ」と思った。
深結の所も大体同じだった。
強いて言うなら、脚じゃない部分が色違いってだけ。
深結
深結
あ、そうそう…
この勝負、何か賭けない?
突然不敵な笑みを浮かべては、俺に質問する。

多分、自信があるからこその質問だろう。
あなた

…いいぜ、乗ってやる。
賭けって何だ?

深結
深結
もしお兄ちゃんが勝ったら…
その時はここから出してあげるよ♪
でも、万が一負けたら…
深結の言う事、聞いてね?
あなた

くっ…!わ、分かったよ。
それでいいぜ…勝負だ、深結!

深結の威圧感と、気迫に押された。

今ので、この後の勝負の流れは
ほぼ掴めなくなったとも言える。
はっきり分かった。
俺に、最初から勝ち目なんてなかったんだ。


深結コイツの事を、あまり知らない」のだから。
深結
深結
うん、良い目だね♪
流石はお兄ちゃん…
勝つ気はあるんだ〜…♪
あなた

(いや、当たり前だろ…
ばあちゃんの所に戻れるっつー
俺にとっての大チャンスだからな…
しかも自分から言いやがったし…)

自分が負けたら俺を帰宅させるという条件を
自ら提示したのに、余裕を見せる深結。



俺にはその意図が分からなかった。
何故そんな事を言ったのか。
深結
深結
じゃ、始めるよ〜?
そう言うと、深結は物凄い速度で
トランプの山札をシャッフルしてみせる。


年齢と見た目上で言えば、反則並に上手い。


大抵の人はこんな見た目の奴がトランプを
ここまで器用に扱うとは考えられないし、
この速度でこの安定したシャッフルは異常だ。
深結
深結
ほいっ!出来たよ♪
深結はキメ顔でそう言いきってみせた。
「負けるはずもない」と言わんばかりの
自信満々な表情で、山札をセットした。





深結コイツ…めっちゃ挑発上手すぎだろ。
コツがあるのか知りたい。凄く気になる。
深結
深結
まずはブラックジャックだよ♪
とりあえず、3回勝負だからね?
あなた

(くそっ…ぜってー勝つ!!
勝つしかねーだろ…!
ばあちゃんを…心配させられねぇ…!)

必死になって、自分を奮い立たせるように、
頬を叩いて気合を入れる。


でもそれは、ただ空回りするだけになる。


この勝負を通して、俺は深結アイツ
何故、俺を家に帰すと言えたのかを
理解することになる。





深結には、俺が知る由もない、
もう1つの能力不思議な秘密が秘められていたという事だ。

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