第13話

執着の魔女
34
2019/07/21 16:05
俺が「黒い魔女」の深結と
遭遇したあの時から、数週間が経った。

未だに、あの時の深結が見せた威圧感等は
植え付けられたままだった。
あなた

…!

何故か身震いがする。物凄く怖い。
あんなの見たら、恐怖すら覚えるよな…
魁斗
魁斗
あなた、お前さ。
ここ最近ずっとそんな感じだよな。
コイツは魁斗。俺と同じクラスの男子だ。
色々あって仲良くなっていた人物である。

もし俺が深結と会った時に何をされるかは
全く分からないから、
魁斗には深結の事は教えていない。
あなた

…そうか?
俺、ずっとそんな感じか?

魁斗
魁斗
ああ、そうだよ。授業中でもそうだ。
皆にだって見られてたんじゃないのか?
お前、絶対なんかあったろ。
深結の事をよっぽど知りたいのか、魁斗は
顔を近づけて口早に俺を問いつめてくる。

毎度の事だが、顔ちけぇよ…
あなた

何もねーって…心配性だな。
…とりあえず、一つだけ教えてやる。
都市伝説の話だが。

魁斗
魁斗
都市伝説…?なんの事だよ?
顔と顔は至近距離だが、話すだけなら問題ない。
そう判断した俺は、「黒い薔薇」の話を
魁斗に打ち明けた。
魁斗
魁斗
黒い薔薇ねぇ…そんな奴
ほんとに居んのか?
居たとしても特徴が分かんねぇよ。
あなた

…奴にあるのは執着心って言われてる。
狙われたら、覚悟を決めた方がいいぜ。

魁斗
魁斗
ああ、分かったよ…
なんとか深結の事を話すことなく、
魁斗との会話を終えた。
しかしその次のことだ。
深結
深結
お兄ちゃーんっ!一緒に帰ろー?
後ろから肩を叩かれ、その挙句には膝蹴り。

いちいちやりすぎなんだよ…
あなた

毎度の事だが、痛ってぇよ!
そんなに強くすんなって!

深結
深結
お兄ちゃんは、これから帰る所なの?
夜、また会えるかな?
あなた

…相変わらず要求しかしねぇよな…

深結
深結
だって、それが深結だもん♪
話してるとイライラが募ってくる。
…普段の深結コイツならば、の話だが。
深結
深結
あー、でもさぁ…
アレはないよねぇ…?
あなた

深結?なんの事言ってんだ…?

深結
深結
あれー?覚えてないの?
さっき見てたんだよー?
は!?コイツいつ見てたんだよ!?って感じの
状況だ。焦りしか出てこなかった。
深結
深結
という事で〜…お仕置だねっ♪
あなた

それはないだろ…
って…うおわぁっ!?

深結お得意の手刀が、俺の首元を直撃する。
威力に耐えられるような気力はない。
結果的にはもちろん気絶させられる羽目になった。
そして気づけば、また俺は深結の家に居た。
深結
深結
ねぇ、あの時何話してたのー?
あなた

……

怖すぎて黙るしかなかった。
深結
深結
んー、しょうがないなぁ…
もーっと教育するしかなさそうだね?
いや、なんでそうなるんだよ…と
思ったその時、また身震いがした。
今度はいつもとは比べ物にならない強さ。

正直、深結の威圧感だけで気絶しそうな勢いだ。
深結 (黒い魔女)
深結 (黒い魔女)
…面倒な事、させないでくれるかしら。
そこまで絶望を味わいたいの?
あなた

なんでだよ…!なんでダメなんだよ!

深結 (黒い魔女)
深結 (黒い魔女)
…前に言わなかった?
私は貴方を愛してる。だからこそよ。
貴方はそれを裏切るというの?
あなた

愛してる?ならなんで…!
こんな事しても、誰も喜ばねぇよ!

深結 (黒い魔女)
深結 (黒い魔女)
…ふふっ、そこだけはバカなのね。
私は狙う人さえあればいい…
そういう物だから。
あなた

…そういう事かよ。
「俺さえあればいい」って事だな?

深結 (黒い魔女)
深結 (黒い魔女)
…ご名答よ。
貴方さえあれば問題ないわ。
あなた

なるほどな…
お前の事が少しだけ分かった。

深結 (黒い魔女)
深結 (黒い魔女)
…別にいいわよ、分かったって。
貴方には絶望の底に堕ちて貰うだけ。
俺と、「黒い魔女」の深結。
深結から感じるのは以前の威圧感と殺気が殆どだ。

火花が散っているような感覚を覚えた。


…勝算は殆どないに等しいが、
やれるだけの事はやってやる!

プリ小説オーディオドラマ