ブラックジャック、1回目。これは3回勝負。
俺は3回のうちで、深結に2回勝てばいい。
ただそれだけである。
そうすれば、俺の勝ち。
深結が2枚の状態でスタンドしてきた。
それが怖すぎて、俺は追加を躊躇った。
まるで「遊んでいる」かのようだ。
…だから、お前は挑発上手すぎなんだよ。
余計に腹が立つし、何も言い返せない。
深結の垣間見せる余裕が、俺の怒りを
奮い立たせてくる。
深結は完全に俺で遊んでると確信した。
何がお兄ちゃんだよ…
俺は覚悟を決めて、1枚追加する…が、しかし。
俺自身の手札は21を超えていた。
…1戦目はほぼ負けが確定した。
そう言って深結は手札を見せてきた。
…って、16じゃねぇか!?
つまり俺の負けという事である。
俺は手札の関係上足すしかなかった。
でも、ここで来たのはJ。
だから超えた。でも、深結でも
あれを引いていれば21を超えていた。
つまり、これは深結の読み勝ちだ。
しかし後2回も、俺は深結に勝てなかった。
3戦目にはブラックジャックを決められた。
事実上の完敗である。
いや、これは気づかなかった俺自身が一番悪い。
深結が怪しいのは前から
理解してたはずだから。
俺が反省しなきゃならない事だ。
俺はこの時、負けを確信した。
もちろん、結果は3戦3敗。
俺は、深結に完膚なきまでに叩きのめされた。
つまり、深結の言う事を聞く状態が
しばらくの間続くことになる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!