第11話

命令の時間
38
2019/07/21 16:40
ブラックジャックとポーカーで、
深結に完膚なきまでに叩きのめされた俺。


深結の約束通り、俺は深結の
「言うことを聞く」状態になった。
不安要素が絶えないのはご愛嬌だ。
深結
深結
んー…まずはこれだね♪
上機嫌そうな深結は、俺の目の前に
1つの料理を出した。
あなた

…なんだよこれ。

深結
深結
ちょっとしたご褒美だよ♪
さっき付き合ってくれたじゃん?
って、これはご褒美なのか…。

深結コイツにも少しくらいは
優しさがあるんだな、と思った。

俺はそれを静かに受け取り、偶然
そこに置いてあったスプーンですくい上げ、
料理を口にした。
あなた

…うん、普通に美味いな。

深結
深結
えぇーっ、何その反応…
悲しいな〜…?
あなた

いや、マジでこれくらいしか出来ねぇ…

物凄く眠い。目を擦りたくなってきた。

それだから、反応も薄れるのだ。
深結
深結
(あ、別にこれでも良かったね♪
…逆に運が回ってきた!)
あなた

お前…料理のセンスも
そこそこあるんだな…

徐々に喋る声に覇気がなくなる。

俺は再び眠りについた。


何をしたのかは謎だった。
深結
深結
睡眠薬とかの耐性が低い…?
もしかして、お兄ちゃん…?
この後俺が目覚めるまでに、約1週間は要した。


そして、その次の事。
深結
深結
今回はねー、これをしてもらうよ♪
あなた

…了解した。

こんな風に、色々な事を深結に命令されては、
それを実行し続ける日々が続く。


だが、深結の命令は徐々に強さを増していった。
こんな見た目からは想像も出来ない程の、
凄すぎる命令ばかりだ。
そして、ある日の事。


遂に俺の限界がそこで止まった。






しかし、それは破滅を意味していた。


都市伝説ともなった「黒い薔薇」の話には、
ごく僅かな人しか知らないであろう
続きが存在していた。






深結の本当の恐ろしさを、俺は知ることになる。

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