第7話

深結の仕打ち
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2019/07/21 16:31
深結の強烈な手刀で気絶させられた
あの日の翌日の事だ。
あなた

あー……痛ってぇ…

俺の目覚めは、至って普通だった。
何の変哲もないごく普通の目覚め。

正直不安しかない。



今、俺が居るのは深結の家だ。
そこに何があるかは分からない。
何故なら、「黒い薔薇」と呼ばれるのだから。



つまり、俺は今警戒を
怠れない状況に置かれている。

深結
深結
あ、お兄ちゃん♪
起きたんだね〜…?
そんな時の俺の目覚めを見て、
深結は微笑ましく笑う。
俺に執着してるかもしれないっていう
大きな証拠になりうる事実だ。
あなた

…お前の家…変わってるよな。
なんでこんな家なんだ?

咄嗟に出た疑問を、このタイミングで
深結に話してみる事にした。
俺自身の中で、唯一気がかりだった事だ。
深結
深結
他人と仲良くする為だよ♪
深結なりに、考えた結果なの。
  それを聞いて、少しだけ安心した。
「黒い薔薇」とはいえども、優しい所はある。
それが分かっただけでも良かった。
深結
深結
あ、お兄ちゃんには言い忘れてたけど…
深結は一人暮らしなの。
そこは、忘れないでね♪
あなた

は!?

  「コイツ、一人暮らしなのか…」と、
俺がその事実に驚いていたその時の事だった。
深結
深結
だから深結は、
お兄ちゃんをお世話するの。
そう決めたんだっ♪
あなた

…絶対断るからな!!

「黒い薔薇」で知られる、深結の洗練された動き。
それを、必死に目で追う。


遭遇してあまり日は経っていないが、
深結の行動にも少しずつ慣れてきた。
深結
深結
ふーん、なかなかやるね〜…
あんな短期間で、これくらい慣れれば
深結でもそんな反応はする。

今、それが顕になった。それを感じ取った
俺は心の中でガッツポーズをした。
深結
深結
けど、まだまだ甘いよっ♪
あなた

がっ…しまった…!

やらかした、と言うべきだろう。


今の時間で、僅かな隙を見せた俺。
「バカだね♪」という目線を向けてきた
深結の、鋭く重い一撃で再び体勢を崩した。
深結
深結
ほい、っと。
えっへへー、捕まえたっ♪
身体が地面に叩きつけられる直前で、
深結は俺を拾い上げて微笑んだ。


俺自身、俺の事はそのまま放置するかと思っていた。
だが、深結はそんな事はしないだろう。


「黒い薔薇」にも、意思はあるから。
あなた

…おいやめろ!?
顔近いって!

深結
深結
ううん、深結はこれがいいっ♪
そう言って、深結は拾い上げたはずの
俺の身体を、徐々に押し倒していく。


俺はすぐさま拒絶しようとするが、
深結はそんな事を気にもしなかった。


これは、俗に言う床ドンだ。


俺と深結の顔の距離は、誰が見ても驚く程近い。
深結
深結
これは深結からのプレゼントだよ♪
片手で俺の動きを抑制しながら、
深結は俺に何かを飲ませた。

この時の俺はノーガードに等しいため、
それを普通に飲み込んでしまった。
床ドンまでされたのなら当然の結果である。



何も出来なかった――ただ、それだけの事を悔やむ。






そして、再び俺は深い眠りについた。

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