第2話

祖母のはなし
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2019/07/21 16:13
祖母
祖母
あら、戻ったんだねぇ。
どうしたんだい?
息を荒くして祖父母の家に駆け込んだ俺。





ちょっと心配そうにしていたのか、
祖母の優しい声が返ってきた。
あなた

…ごめん、急に来たりして…
俺が孤児院に居た事、知ってるだろ?

祖母
祖母
もちろん知っているわよ。
雅美があなたをあの孤児院に
連れていった事くらい…
祖母の言う雅美と言うのは、俺の母である。


母は父と離婚したらしく、交通事故に
遭ってしまったと、祖父から聞いたことがある。
あなた

俺、そこを抜けてきたんだ…
正直、申し訳ないとも思ってる。

「黒い薔薇」の話は都市伝説だ。
恐らくだが、祖母でも信じてくれないだろう。



孤児院を急に抜けてきた事実を言い、頭を下げる。
祖母
祖母
孤児院には飽きていたのかい?
なら、いい所があるよ?
え?なんだその解釈…


一瞬、思わず俺自身の思考が停止した。




おばあちゃん…変な解釈はやめろって…
あなた

…いい所?何の事だ…?

思考が停止した俺は、すぐさま出てきた
疑問を祖母に投げかけた。





動じる様子もなく、祖母は疑問に答える。
祖母
祖母
それはね、学校という所だよ。
あなたも知ってるだろう?
勉強しながら、良い人を目指せる所さ。
あなた

…うん。学校は知ってるよ。
だって、前から行きたかったし。

祖母
祖母
おう、そうかいそうかい。
なら、私が学校の手続きをするよ。
あなた。今日は泊まっていきなさい。

俺の話を聞いた祖母は、喜んでいた。



どうやら、学校に行かせてくれるらしい。





これなら、「黒い薔薇」とも会わなくなるだろう。
正直、孤児院と学校の差なんて、
歴然としてるのが紛れもない事実だ。



別に、あの孤児院が嫌いという訳ではない。
「黒い薔薇」から、逃げてきただけだから。
祖母の厚い支援を受けたその翌日。




支度を整えて、俺は学校に向かう。






ここから、俺の学校生活が始まる…はずだった。

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