謎の無言の時間…
いかにも、急いで誤魔化したような発言。
でも、綺麗だと思ったのは事実だし。
2人して笑いながら、歩いていると
わたしの横にいたのに
突然わたしの前に来た。
悲しそうな顔をして
わたしのタンコブのあたりを優しく触った。
ドキッ…
今にも泣きそうな顔をして
謝られてしまった。
どうしてそんな悲しそうな顔するの…?
そんな顔しないでよ…
わたしまで悲しくなっちゃうじゃん。
頭から手を離して
わたしの横を通り過ぎてしまった。
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わたしは、家族や他の人に迷惑をかけてる。
そんな事はとっくに分かっていた。
…あまりわたしとは関わらない方がいいのかもしれない。
ろくなことにならない。
あっという間に家に到着していた。
顔を見てしまうと
離れるのが辛くなりそうだった。
すると
ギュッ
わたしは、彼女に手を握られていた。
ゆっくり彼女の方を向くと
まるで、「行かないで」と言わんばかりに
手をギュッと握られて
涙目になりながら
背がわたしより低い彼女は
上目遣いでまっすぐとわたしを見つめていた。
ドキッ
わたしの、胸のドキドキが音を立てていた。
ハッと我にかえったのか
手を離した。
わたしは、彼女の腕を掴んで
自分の方に引き寄せて抱き締めていた。
自分でもなんでこんな事したのか…なんて
はっきり分からない。
彼女は抵抗する事なく、されるがままに
わたしの腕の中にすっぽり収まっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。