ハヤタさんの部屋を出たところで、廊下にいたショウタくんに気付く。
ショウタくんはお風呂上がりのようで、肩にタオルをかけている。
別に悪いことをしているわけではないのに、なんだか気まずい。
平静を装って、ショウタくんの横をすり抜けようとした。
すれ違いざまに声をかけられる。
ハッとして振り返ると、苛立ちを抑えた様子のショウタくんの瞳とぶつかった。
強い眼差しで見つめられ、言葉を続けずにはいられない。
しどろもどろで応えると、余計に訝しげに目を細められた。
これ以上は言えない。
ショウタくんは言葉を被せてきた。
廊下に声が響く。
ショウタくんもハッとして、声をひそめた。
腕を引っ張られ、ショウタくんの部屋に押し込まれた。
わけがわからない。
ドアを閉めたショウタくんは、大きな溜息を吐く。
ばつが悪そうに後ろ頭を掻いた。
素直に謝ってくれるところは昔から変わってない。
独り言のように呟いて、沈黙が落ちる。
真意を探るように私の瞳を覗き込んでくる。
ショウタくんは目を見開いた。
自分でいいながら、余計に寂しい気持ちになってきた。
ショウタくんは、グッと拳を握りしめる。
言葉を探して、戸惑うショウタくん。
そして彼は意を決したように、顔を上げた。
……それって……?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。