第2話

黄昏館
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2021/01/29 09:37
第2話「黄昏館」

池のほとりで出会った里津花と壱流
偶然にも2人が目指していた場所が同じだと分かり
一緒に行動する事に

休憩を終え出発しようとした時、

里)あれ?
壱流)どうかしたのか?

不意に足を止める里津花

里)こんな場所にお墓?
壱流)ふぇ!?

池のほとり、木陰になる場所に
小さなお墓が建っていた

里)文字が刻んであるけど、苔で読めないな。
壱流)っ...

古いものなのだろう、
墓石に刻まれた文字は読めなくなっていた

壱流)は、早く行こうぜ...な!
里)ちょっと待って。
壱流)は?

里津花は近くに咲いていた花を摘むと
墓の前に置き祈る

里)こんな場所で1人は寂しいからね。
壱流)...そうだな。(隣で同じようにする)
里)さて、行こうか。
壱流)おう...ん?

今度は壱流が足を止める

里)どうしたの?
壱流)この墓の裏に道がある。
里)あ...本当だ、木が茂っていて
立ったままだと分からなかったな。

壱流が指したその道は茂った木々が
覆い隠すように存在していた

壱流)俺もこの墓に気づかなきゃ分からなかった。

里)もしかしたら、この先にあんるんじゃない?
壱流)俺も同じ事考えてた。
2人)「黄昏館」!!

2人は見つけた道を進む、
途中獣道になりながらも
やがてひらけた場所に出た、そして...

里)あった...
壱流)本当にあったんだ。

そこに立つのは大きく古い洋館
よく見ると、窓のいくつかに明かりが見える

里)さて、問題は入れてもらえるかだよね。
壱流)誰かいるのは間違いないけどな。

玄関へ近づく、豪華な装飾のノッカー(※)
を持ち叩いた

(※ノックする際に使う物、大きな音が出る)

カン!カン!

ノックをしてしばらく待つ..
中で人の気配が動き扉が開く

大)はい...

里)すみません、旅のものですがこちらは
「黄昏館」で間違いありませんか?

大)....(じっと見据えるように立っていて)
里)あの?

返事がないので不安になった時、
チリンチリン、、
屋敷の奥から呼び鈴の音が聞こえた

大)ああ..入りたきゃ入るといい。
里)あ、ありがとうございます。

入れてくれるというので、中に入る事にした

大)そこで待ってろ、案内が来るから。
里)ありがとうございます。
壱流)なんだよ、感じ悪いな。
里)壱流くん..(苦笑い)
急に来た俺たちも悪いんだから。

言われた通りに待っていると、
奥のから青年が出てきた

壱星)お待たせしてすみません、
俺は壱星と申します。
里)里津花です。
壱流)壱流です。

壱星)まずはご用件を伺いましょうか。
里)俺たちはその..「黄昏館」の噂を聞いて来たんです。
壱流くんとはここに来る途中で出会って一緒に。
壱星)なるほど、貴方方も会いたい方がいるんですね。
壱流)って事は、
亡くなった人に会えるって本当なのか?
壱星)俺はそう信じてます。(微笑んで)
部屋に案内しますね、
今日は遅いので館内の案内は明日にしましょう。

そう言って先頭を歩く、

壱流)....(壱星の背中を見つめて)
里)どうしたの?壱流くん。
壱流)あいつ、どこか懐かしい感じがするんだよな。

階段を登って、突き当たりの2部屋の前で

壱星)ここは壱流さんが使って下さい。
(左の部屋を指して)
壱流)分かった。
壱星)そちらを里津花さんが使って下さい。
里)ありがとう。

壱星)明日の朝、起こしに来るので
それまで部屋を出ないでください。
必要な物は大体揃ってるので。
里)分かった、それじゃ2人ともおやすみ。
壱流)おやすみ。
壱星)おやすみなさい。

与えられた部屋に入る

内装はシンプルでベッドとテーブルと椅子。
テーブルの上には水の入った容器とグラス。
クッキーも置いてあった

里)来たばかりなのに、用意されてるなんて。

ベッドも日干しされたシーツの匂いがした
床も埃1つない、少し疑問に思いながらも
疲れもあってその日は眠りについた



つづく

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