第8話

白詰草
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2021/01/29 09:57
第8話「白詰草」 

庭で花を見ていた壱流と里津花と英知は
近寄るなと言われていた部屋の窓を偶然見つけた

そして、寝たきりの病人が壱星だと知る
それを責めるように窓から叫んでも
壱流の声は室内にいる3人に届かなかった

壱流)おい!無視すんな!!
里)駄目だよ、壱流くん!!

室内では壱流を気にすることなく話を続ける

大)弟のしに負い目を感じてるのか?
志)壱流がしんだのはお前のせいではない。

里)えっ...今、壱流..って、、
壱流)は?何言ってんだよ!おっさん!
俺は生きて...っ!!

ドクン、、と壱流は自分の何かが跳ねた感覚がした
...視線の先には一枚の写真、

幼い子供が寄り添うように写っている
写真の下には文字が書かれていて

「壱星、壱流兄弟と白詰草の群生地にて」

フラッシュバックするかのように
忘れていた記憶が頭の中を駆け巡る

「また寝てるのか」
「ごめんね、ゴホ、ゴホ。。」
「そうだ、あの約束のクローバー
         探してきてやるよ!」
「クローバー?」
「四つ葉のクローバーだよ、幸運のお守り!」

場面は変わって、池のほとり

「無いなぁ。絶対見つけて驚かせてやるんだ」

そこにいるのは一人、
夕日に照らされ、見えた四つ葉のクローバー

「あった!けど、浮島か」

四つ葉のクローバーがある場所は
池の中央に浮かぶ浮島のほとり

「手を伸ばせば届くかも...」

壱流)嫌だ。。

「もう、少し...」

壱流)やめろ...嫌だ...思い出したくない!


限界まで手を伸ばし、
四つ葉のクローバーを掴もうとする、
そしてそのまま足を滑らせ、、

壱流)やめろぉお!!!

ピシィ!と窓ガラスに亀裂が走る

里)壱流くん!!
英)いけない!!

そこに壱流の姿はなかった

志)なんだ、窓が!
大)風か?
壱星)....ゴホッ、ゴホッ!
志)安静にして、休め。
壱星)ありがとうございます。
志)医師として何も出来ないからな、
これぐらいはさせてくれ。
壱星)おやすみなさい。
大)ああ、おやすみ。

壱星が眠りにつくと部屋を出る2人

大)あとどれくらいなんだ?
志)持って..数日だろうな。

大)...そうか。


浮き彫りになってきた壱流と壱星の関係、
そして過去

混乱した壱流はどこに行ったのだろうか...

つづく

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