第4話

会いたい人
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2021/01/29 09:43
第4話「会いたい人」

屋敷を案内されてから、
許された場所を改めて見て回る

里)外見からでも思ったけど、大きなお屋敷だね。
壱星)前は貴族の家だったみたいですよ。
壱流)へぇ、内装も確かに豪華だもんな。
里)掃除も行き届いてる、他に人もいるのかな?
壱星)いえ、ここに住んでるのは俺と大さんだけです。
管理は全部大さんがしてくれてます。

里)それは...大変だね。

壱星)俺も手伝えればいいんですけど..
壱流)手伝えばいいじゃん。
里)ここにいる間は、俺も手伝おうか?
壱星)えっ?
壱流)あ、俺も!いちおう、世話になってるし。

壱星)あ、あの!話は変わるんですが..
お二人とも黄昏館の噂を聞いてここに来たんですよね?

里)うん、そうだよ。
壱星)...誰に会いたいんですか?
里)誰にって...あれ?..
壱流)どうしたんだよ?
里)...分からない、ここに来るまでは
覚えていた気がするのに思い出せないんだ。
壱流)何でだよw因みに俺は..あれ?分からない。

壱星)疲れてるんじゃないですか?
きっとそのうち思い出しますよ!
そうだ、朝ごはんもまだでしたね、
ダイニングに行きましょう。

里)そうだね、ありがとう。
壱流)朝ごはん!

3人はダイニングへ向かうと既に用意がされていて
テーブルに2人分の朝食が置かれていた

里)あれ、2人分だけ?
壱流)誰もいないのな。

壱星)俺は後で頂くので、2人で食べてください。
里)えっ悪いよ。
壱星)大丈夫です、大さんが薪割りから戻ったら
一緒に食べるので。

壱流)そういう事ならいただきます!
里)分かった、ありがとう いただきます。

用意されていたのは
パンとサラダとオムレツだけだったが、
暖かい味がした

朝食を済ませ、お互いの部屋の部屋に戻った

里)何で思い出せないんだろう。

思い出そうとしても、何故かモヤがかかったようにそこだけ思い出せない

里)俺は、誰に会いたいんだろう...

思い出せない不安と悲しさで気分は沈んでいった

少しでも気分を晴らそうと下に降りる
玄関先で大がたくさんの荷物を運んでいるのを
見つけ近寄る

里)大さん、手伝いましょうか?
大)...

大は返事どころかこちらを見もせずに
1人で荷物を運んでしまった
縮まらない大との距離に少し悲しくなる

里)何か怒らせるような事をしてしまったかな。

気分は晴れないまま時間だけが虚しく過ぎていく、
昼食にと用意されたサンドイッチも喉を通らず
食べなかった

壱流)どうかしたのか?
里)大丈夫、疲れたのかな。(苦笑い)

壱星)庭に行ってみますか?
里)ありがとう、でも部屋で休んでるよ。

カン!カン!

その時だった、来客を知らせるノッカー音が響いた

壱流)また誰か来たな。
里)また?
壱流)朝にも誰か来てた、
帰る後ろ姿しか見てないけど。
里)それならきっと荷物を運んで来た人じゃないかな?
大さんが荷物を運んでいたし。

話していると、大が出迎えたのだろう
玄関の扉が開く音が聞こえる

大)はい...
英)こんにちは、ここは「黄昏館」で合ってますか?
大)...

壱星)ちょっとすみません。
里)壱星くん?

壱星が壁に掛けてある
呼び出しのベルをチリン、と鳴らした

大)入れ、時期に案内が来る。
英)あー、はい。ありがとうございます。

壱流)俺たちの時と対応が同じだ。
壱星)あの時もベルを鳴らしたから..
案内に行ってきますね。

壱星は来客を迎えに行きやがて
その来客を連れて戻って来た

壱星)今日から滞在する、英知さんです。
英)どうも〜英知です、よろしくね。
里)里津花です、よろしく。
壱流)壱流、よろしく。


新たな客人に少し戸惑いながらも館での
時間は過ぎていく


つづく

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