第4話

推しに叫ぶ守り神。
28
2021/02/25 10:00
サアド
サアド
お?着いたなー。
神の国から人間界に移動した私たち3人は
辺りを見回してみる。
あなた

あれ、ここって…私の家?

ノウド
ノウド
え、そうなんですか?
サアド
サアド
そうなのか!?
今まで消えていた記憶が少しずつ
色を取り戻していく。
あなた

あ…先生だ。

コンコン。先生と呼ばれた彼はあなたの
家のドアをノックする。
ドアを開けたあなたの母と挨拶を交わす。
高木先生
高木先生
御母様、あなたさんが私に手紙を
下さっていたいうのは一体…
母は黙って、綺麗に包まれた手紙を
彼に手渡した。
「高木先生…今まで娘を大切にして頂いて、
本当にありがとうございました。」
震える声であなたの母は声を絞り出した。
高木先生
高木先生
っ…
静かに一礼して彼、高木直人はあなたの
家を後にした。
ノウド
ノウド
今のはどなたですか?
ノウドはあなたに問いかける。
あなた

私の担任の先生です。
私の…推し様でした。

サアド
サアド
…あなたの守護対象(守る人)の
情報から見ると名前は、高木直人…
さっきの人みたいだね。
あなた

え…守護対象??

ノウド
ノウド
これから貴方が守っていく人の事です。
あの、推し様をとは一体…
あなた

簡単に言えば私のアイドルでした。
彼がいるからこれまで頑張れたんです。
…え、これから私が守るんですか!?

サアド
サアド
ああ。そういう事になるな。
あなた

い、一体何から守るんですか!?
こんな平和な街で…

ノウド
ノウド
…実は、一見平和そうなこの世界は
僕たち神が守ってるんです。
サアド
サアド
人間達には見えてないから
知らないだろうけどなー。
ノウド
ノウド
守り神が職務を放棄した場合、
この世界は…
あなた

先生っ…!!


ノウドの言葉が終わる前に
あなたは走り出した。
推し様に会いたくて、
元気かどうか確かめたくて。
サアド
サアド
あ、おいっ!?待てよっ!!
ノウド
ノウド
あなた

高木先生!!私です、あなたです!!

高木先生
高木先生
あなた…??
って、いるわけないよな。
あなたは…3年前海で亡くなったのに…
俺、いつまで引きずってるんだよ。
あなた

先生っ!?どうして私の目を
見てくれないんですか!?昨日みたいに…
社会の勉強教えてくれた時みたいに、
私の目を…みてよ…

ノウド
ノウド
あなたさん…貴方はもう…
あなた

うるさいっ!

あなたは3年前既に海にのまれて
亡くなっていた。
しかし、あなたは自覚していないようだ。
自分が死んだ事を。
そんな哀れな新人守り神をノウドとサアドは
声をかけることができないまま見つめていた。

泣き崩れるあなたを抱えて、3人は
神の国に帰った。表情を失った彼女は
その日死んだように眠ったそうです。

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