21時を少し過ぎた頃に再び俺の電話が鳴った
俺は慌てて携帯を取り出す
『着信 佐野悠哉』
スグに電話に出た。
その声は暗かった…
悠哉の声が段々鼻声になっていくのが分かる
最後は鼻をすする音が聞こえ電話が切れる
ピロンッ♪
俺は震える手を…指を動かし受信ボックスにきたメールを開いた。
「蒼真へ
このメモを蒼真が読む頃には私は海の底にいることだと思います。こんな勝手な私を許してね。多分、蒼真はこんなことを望んでいないと思うんだ。だけど、私は蒼真に生き残って欲しい。その思いから私はこんな行動に移りました。私は何処に行くのかな?やっぱ、少し死んじゃうのは怖い。けど、私は待ってるから。いつかは人間みんな死んじゃうからさ、その時になったらまた私に会いに来てくれたら嬉しいかなぁ。舞ちゃんに会って分かった。あの子ならきっとDEATH GAMEを終わらせることが出来るんじゃないかな?私が「頑張って!」って言ってたって言っといてあげて。それじゃあ、またいつか巡り会える日がきたらね。
今までありがとう、大好きだよ。
霜村友莉乃」
俺の目からは涙が沢山溢れていた。
神崎は友莉乃の伝言を聞くと少し真剣な表情に変わり俺から離れていく。
俺は暫く泣き続け、あとは日付が変わるまでただただぼーっとしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。