むくり。薄暗い部屋に置かれたベッドの上から起き上がった私は、携帯を確認する。
眠れない。膝を曲げると昨日殴られたアザがずきりと傷んで思わず吐息を漏らした。
私はあなた。16歳の高校1年生だ。
父親は小さい時に病気で他界、今は母親と2人で暮らしている。
……のだが、母親は日頃のストレスを私にぶつけ、殴ったり蹴ったりを毎日される。
そんな日々に心身は削られていき、もうそろそろ死のうと思っているこの頃だ。
むりやり服用量以上の睡眠薬を飲むが胃が受け付けず、嘔吐く。
口からこぼれ出した水と白い錠剤が床に落ち、その上に胃液が混ざる。
それを見て私の目からも涙がこぼれ出した。
そう口に出した時、いきなりスマホから低い重低音が鳴った。
ブォン
そこにはおさげの女の子のようなものと「魔法少女サイト」という文字が映し出されていた。
それだけ言い終わるとぷちりと画面が消えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。