今日は特に何も無く、時が過ぎ放課後。
隣の席のシルクが鞄を背負いながら聞く。
返事の代わりに、シルクの隣に並んで歩く。他愛もない普通の話をして部活に行く。男バスと女バスは隣だけど、部室が違うから、別れる。部室に入った途端、先輩達が私に迫ってくる。
事情を話すのはめんどくさいから、話を逸らすけど、出てきたのはあの話。
どんどん先輩の顔が近くなってくる。いや、近い近い近い。
これは真実を言うまで逃がしてくれないな……と悟ったため、仕方なく経緯を話す。
ニヤニヤして、私に言う先輩。もうつっこむ気力もない……。
急いで先輩が準備する。私着替えるのは、30秒で終わるから特に急ぐ必要はない。
先に部室を出て準備をしに行く。体育館には、既に1年生や先輩の姿が。でも、もう準備は済んでいるようだった。全員揃ったのを見たキャプテンは、部活を始める。
男バスとゲーム……男バスとゲーム!?それって……。
……そういうことになるよね。先輩は、頬を赤く染めてキャーキャー言ってる。まぁ、私も楽しみにしちゃってるんだけどね?ということで、すぐにゲームをする。その前に給水をするんだけど、お茶がなくなったから冷水機の水を飲みに行くと、
はじめがいた。ちょうど、冷水機の水を飲んだあとなのか、唇が濡れている。それを拭くために、シャツの裾を持ち上げるんだけど……お腹!!お腹見えてる!!めっちゃ細い……って何考えてんの!?と、脳内荒れながらも、はじめに、
と返す。ヤバい、さっきのが頭から離れない……と思いながら顔を逸らせば、
ニヤニヤしながら、私の顔を覗き込むはじめ。こ、この人分かってて……!私の顔が熱くなる。
照れ隠しの素直じゃない言葉がまた出てくる。はじめはケラケラ笑って、
と言って退いてくれる。もう……と思いながらも、冷水機の水を飲む。冷えてて美味しいんだけど……視線を感じる。チラとそちらを見れば、はじめがじーっと私を見ていた。思わず吹き出しそうになるのを必死に堪える。
唇の水を拭い、はじめにそう言う。はじめはニコッと笑うと、
私が焦っている間にはじめは逃げるように去っていく。私の顔はきっと真っ赤。
私は真っ赤な顔のまま1人そう呟いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。