第10話

どうにも慣れなくて
902
2018/07/23 20:23
今日は特に何も無く、時が過ぎ放課後。
シルク
シルク
○○部活行くんだろ?
隣の席のシルクが鞄を背負いながら聞く。
あなた
あなた
うん。
シルク
シルク
だったら一緒に行こうぜ。○○バスケ部だろ?
あなた
あなた
知ってたんだ。
シルク
シルク
まぁな。
返事の代わりに、シルクの隣に並んで歩く。他愛もない普通の話をして部活に行く。男バスと女バスは隣だけど、部室が違うから、別れる。部室に入った途端、先輩達が私に迫ってくる。
先輩
ちょっと○○ちゃん!昨日なんで休んでたの!?
あなた
あなた
あー、ちょっと色々ありまして。
事情を話すのはめんどくさいから、話を逸らすけど、出てきたのはあの話。
先輩
でも、○○ちゃんがあのプリンスのシルクくんにおんぶされてたって聞いたよ!?それに、はじめくんにも手を繋がれてたって!
あなた
あなた
えっとー……
どんどん先輩の顔が近くなってくる。いや、近い近い近い。
先輩
ホントなの!?
これは真実を言うまで逃がしてくれないな……と悟ったため、仕方なく経緯を話す。
先輩
そうだったんだー。モテる女は辛いねえ。
ニヤニヤして、私に言う先輩。もうつっこむ気力もない……。
あなた
あなた
早く着替えて上行かなきゃ、先生に怒られますよ?
先輩
え!?もうそんな時間!?
急いで先輩が準備する。私着替えるのは、30秒で終わるから特に急ぐ必要はない。
あなた
あなた
お先でーす。
先に部室を出て準備をしに行く。体育館には、既に1年生や先輩の姿が。でも、もう準備は済んでいるようだった。全員揃ったのを見たキャプテンは、部活を始める。
キャプテン
今日は男バスと試合形式のゲームするからね。
男バスとゲーム……男バスとゲーム!?それって……。
先輩
はじめくんとシルクくんとゲーム出来るんだ!!
……そういうことになるよね。先輩は、頬を赤く染めてキャーキャー言ってる。まぁ、私も楽しみにしちゃってるんだけどね?ということで、すぐにゲームをする。その前に給水をするんだけど、お茶がなくなったから冷水機の水を飲みに行くと、
はじめん
はじめん
あ、○○だー。やっほー。
はじめがいた。ちょうど、冷水機の水を飲んだあとなのか、唇が濡れている。それを拭くために、シャツの裾を持ち上げるんだけど……お腹!!お腹見えてる!!めっちゃ細い……って何考えてんの!?と、脳内荒れながらも、はじめに、
あなた
あなた
……やっほ。
と返す。ヤバい、さっきのが頭から離れない……と思いながら顔を逸らせば、
はじめん
はじめん
あれあれ?○○ちゃんどうしたのー?
ニヤニヤしながら、私の顔を覗き込むはじめ。こ、この人分かってて……!私の顔が熱くなる。
あなた
あなた
い、いいから変わってよ!早くしないと給水終わっちゃう!
照れ隠しの素直じゃない言葉がまた出てくる。はじめはケラケラ笑って、
はじめん
はじめん
はいはい。
と言って退いてくれる。もう……と思いながらも、冷水機の水を飲む。冷えてて美味しいんだけど……視線を感じる。チラとそちらを見れば、はじめがじーっと私を見ていた。思わず吹き出しそうになるのを必死に堪える。
あなた
あなた
ちょ、はじめ何?
唇の水を拭い、はじめにそう言う。はじめはニコッと笑うと、
はじめん
はじめん
水飲んでるとこも美人だなって。
あなた
あなた
えっ
はじめん
はじめん
……あ。
(オイラ何言ってんの!?ホントのこと言っちゃダメじゃん!!)
あ、あー。給水終わっちゃうからオイラ帰ろっと。
あなた
あなた
えっ、ちょ、
私が焦っている間にはじめは逃げるように去っていく。私の顔はきっと真っ赤。
あなた
あなた
もう……はじめのバカ……
私は真っ赤な顔のまま1人そう呟いた。

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