第11話

プリンスはお悩み中
869
2018/07/12 13:10
私が戻ると給水が終わり、ゲームが始まる。向こうのスタメンには、はじめとシルクがいる。ま、私もスタメンなんだけど。挨拶をして、ホントに試合が始まる。ジャンプボールは、いつも先輩がするのに、今日は何故かしないそう。だって相手が……
はじめん
はじめん
シルク俺取るから取ってねー。
シルク
シルク
了解でーす。
……はじめだから。そして、突き出されたのが……私。まぁ、別にいいんだけど、顔合わせしにくい。そう思っていたのに……
はじめん
はじめん
あー、○○がジャンプボールかぁ。でも、オイラ負けないもんねー。
あなた
あなた
わ、私だって負けないし……。
……なんで?私は緊張していたのにはじめは全然じゃん。なんかモヤモヤする……。
審判
では、よーい……スタート!(?)
そんな事を思っているうちに、審判が始める。あっ、しまった……!ばっと上を見てみれば、高く上げられたボールが落ちているところだった。はじめは、ジャンプをしようとしている所だった。大丈夫、届く……!ジャンプをしてボールを取りに行けば、ボールに手が届き、先輩にボールを渡せる。よし、届いた。
あなた
あなた
はい。
パスに困っている先輩に手を挙げて私がいることを伝える。先輩は、そんな私に気付いてパスをする。それは上手くいったけど……
シルク
シルク
俺がいるの忘れてねぇよな?
……シルクがディフェンスにいた。ヤバいな……と思いながらも、シルクを抜けるようにしてみるが、シルクはそれをことごとく防ぐ。入るか分かんないけど……一か八かだ。そこは、スリーポイントシュートの所だった。だから、あの体育の授業の時みたいに、シュートをする。そのシュートは……入った。
シルク
シルク
うっわ……
シルクは悔しそうにそう言う。ふっふっ、私はこのためにスリーポイントシュートを特に頑張ったんだから。
シルク
シルク
絶対負けねえ!
あなた
あなた
こっちだって!
そのまま試合は続行されたんだけど……
シルク
シルク
ほら、俺の言ったとおりだろ。
あなた
あなた
う……
……ことごとく負けてしまった。前半はめちゃくちゃリードしていたのに、後半はもう……ね。悔しい!
はじめん
はじめん
○○ちゃん頑張ってたね。
私の後ろから、はじめの声が聞こえる。顔だけ振り向いて、
あなた
あなた
……ありがと。
と告げる。あーもう!なんでこんなにモヤモヤするの?そう思っていると、シルクがいきなり私の手を掴む。えっ、ちょ、手……顔が熱くなる。
シルク
シルク
ちょっとこっち来い。
シルクが私を引っ張ってどこかに連れていく。連れてこられたのは、体育館を出てすぐの所。
あなた
あなた
何?
シルク
シルク
いや、はじめくんへの態度が素っ気ないなと思ったから。いつもは……楽しそうに話してるだろ。
シルクは背を向けているから、表情は見えない。シルクにはバレちゃったか……。
あなた
あなた
……そんな分かる?
シルク
シルク
まぁ、分かりやすいっちゃ分かりやすいな。
こっちを向いて、シルクが言う。はぁ……最悪……
シルク
シルク
で、何があった?
真っ直ぐ見つめられたら、話すしかなくなる。溜め息をつきながらも、話し出す。話終わると、シルクは何かを考えているようだったけど、すぐに
シルク
シルク
……もしかしてそれってさ、はじめくんがその美人?って言うのに慣れてて、平然とした態度で接するから嫌なんじゃねえの?
あなた
あなた
言われてみれば、そうかもしれない。
シルク
シルク
でもさ、はじめくんも心の中はヤバいんじゃない?
なんて言われるけど、そんなのは私には分からない事だ。
あなた
あなた
……謝ろうかな。
シルク
シルク
そうすれば?
ニカッと笑ったシルクの顔はとても勇気が貰えた。
あなた
あなた
ありがと。
微笑んで手を振れば、シルクも手を振り返してくれた。そして、私は体育館に戻る。
シルク
シルク
……俺もホントは心の中、ヤバいくせに。
嘲笑しながら、1人呟くシルクの事は知らずに……

プリ小説オーディオドラマ