第9話

素敵な朝
924
2018/07/09 08:42
ピピピピッ、ピピピピッ。目覚ましがうるさく鳴る朝。
あなた
あなた
……あれ?私なんで家に?
全く記憶がない。えっと、男の子に告白されて、断ったら殴られそうになって、はじめとシルクが助けてくれて……そうだ、送ってもらったんだ。ここに寝ているってことは……
あなた
あなた
運ばれた!?
この部屋に入ったことでしょ!?うっわぁ……この部屋見られたのか……。いや、別に散らかってるってわけじゃないんだよ?けど、私の部屋にはテディベアが数体いるから……でも、これお母さんの趣味だから!
あなた
あなた
おはよ。
お母さん
あら、おはよー○○。
お母さんは、きゃぴきゃぴしてて可愛い。だからテディベアもあるんだけど……。
お母さん
ねえねえ、○○!昨日のかっこよかった男の子2人。あの子達とどういう関係なの!?
楽しそうにお母さんが私に聞く。やっぱり、家まで上がったんだ……。
あなた
あなた
友達と先輩。
お母さん
えー、つまんなぁい。
口を尖らせてそう言うお母さん。
あなた
あなた
ねえ、お母さん。その人達、私の部屋に入った?
お母さん
ええ、入ったわよ?
すんなりとお母さんは言うけれど、私にとっては重要なことだ。
あなた
あなた
最悪だ……テディベア見られた……。
お母さん
なんで、最悪なの?可愛いじゃない。
朝ごはんを作りながら、お母さんは楽しそうに言う。
あなた
あなた
だって、私学校ではそんなキャラじゃないもん。
お母さん
いいじゃない、そんな事気にしなくても!さ、朝ごはん出来たわよ!お母さん特製パンケーキ!
あなた
あなた
そんな軽く言うけど、私には重大なことなんだから……けど、このパンケーキに免じて許す。
パンケーキを頬張りながらそう言えば、お母さんは正面に座ってニコニコ私を見てる。食べづらいんだけど、お母さんと話しているのはとても楽しいんだ。
あなた
あなた
ごちそうさま。
机にお皿を置いたまま階段を上っていく。制服に着替えて、色々準備をして……。
あなた
あなた
行ってきます。
と、玄関を出ようとした時だった。ピンポーン。家のインターホンが鳴った。誰だろうと思いながら、玄関を開けるんだけど……。私はすぐに閉めた。だって、だってだってだって!!はじめとシルクが居たもん!!なんでこんなとこに……
お母さん
○○誰だったのー?
あなた
あなた
意味わかんない人達!
プリンス
プリンス
誰が意味わかんない人達だって?
後ろから、もう聞き慣れた2人の声が聞こえる。お母さんは、顔を輝かせてるし……嫌な予感。私はそっと振り返る。
あなた
あなた
……なんで居るの。
そこには、扉を開けてドアにもたれているはじめとシルクが居た。
シルク
シルク
お姫様を迎えに来ただけだけど?
と、意地悪な笑みを浮かべるシルク。私の顔が赤くなるのが分かる。
はじめん
はじめん
朝からお騒がせしてすみません。
お母さんに微笑みながら謝るはじめ。お母さんの目はハートになっている。
お母さん
いえ、いいのよ!ほら、○○早く行ってきなさい!
あなた
あなた
はいはい……。
もう敵わないのは知ってるから、仕方なく言うことを聞く。
あなた
あなた
行ってきます。
お母さん
行ってらっしゃい!3人とも気をつけるのよ!
プリンス
プリンス
はい。
あなた
あなた
ん。
今度こそ家を出て、学校へ行くんだけど……。
あなた
あなた
……ねえ、なんで家に居たの?
後ろを歩いてる2人を振り返ってそう言えば、逆に2人は不思議そうな顔をする。
プリンス
プリンス
一緒に学校行きたいからだけど?
あなた
あなた
な、なにそれ!
自分の顔が熱くなる感覚は慣れなくて。前を向いて俯いて歩いていると2人が私を挟んで並ぶ。
はじめん
はじめん
あれ?○○ちゃん照れてない?
シルク
シルク
そうっすね。
ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む2人の背中を叩く。
プリンス
プリンス
痛てぇ!!!
そんな2人の反応をクスクス笑いながら行く学校は案外楽しかった。

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