デート当日。待ち合わせに指定された場所に行く。ここ来たことないんだよなぁ。時計を見れば9時30分。待ち合わせに30分も早く来てしまった。どうせ来てないだろーな、と思っていれば
背の高い人に低い人。あの分かりやすいシルエットは絶対そうだ。
2人を呼ぼうとすれば、可愛らしい女の子2人がシルクとはじめに絡んでいく。
私は黙って見てるしかなかった。だって、お似合いなんだもん。私といるよりかずっと。
俯いて嘲笑する。あの2人はプリンスだ。私がいくら頑張っても、並べる人達じゃない。けど、心は一緒に居たがっている。
こんな事考えるのは初めての事で。心はモヤモヤする。その光景を見たくない一心でここから離れようと背中を向けた時。
聞き慣れた声が聞こえてくると同時に、私の手首が2つの掌に止められる。……なんで?女の子と一緒に居たはずじゃないの?そう言いたくて顔を向けたけど……
っていつもみたいに笑う2人に何か不安だった私の心は、安心したのかモヤが晴れる。
ホントは今2人に止められて嬉しいのに、相変わらず素直じゃない私の心は意地を張る。だけど。
この2人も相変わらず私に優しいんだ。……この2人がモテるのは顔だけじゃないんだってやっと分かった。この2人にこんな近くに私が居ていいんだろうか。きっと、もっとふさわしい人がいるだろう。だけど、私はこの2人の近くで楽しく過ごしたい。だから、神様どうか許して。
私が2人と一緒に居ることを。
2人に微笑めば、
驚きながらも顔を赤くする。……あぁ、今日も変わらない2人に落ち着く。
そう言いながら、先に歩けば追いかけてくる2人。
今だけは素直な気持ちをプリンスに。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。