第16話

その人はきっと幸せ
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2018/07/23 20:14
待ち合わせ場所は駅の前だったから、すぐ駅に入っていく。もちろんそれに着いてくる2人。まぁ、前みたいに私を挟んで歩いてるわけなんだけど。
あなた
あなた
……やっぱり、女子の視線スゴいね。
そう。本当にスゴい。身の回りの女子全員が見てるくらい。いつもの制服姿もかっこいいけど、私服も流石プリンスって感じ。カジュアル且つ動きやすい服。オシャレに着こなしてるし。そう思っていれば、驚いたような2人。
はじめん
はじめん
何言ってるの、○○ちゃん。
あなた
あなた
え?
シルク
シルク
男子の視線もすげぇぞ?
あなた
あなた
そうかな?
私が見ても、チラ見する男子と目が合うだけ。それの何処がスゴいの?
シルク
シルク
まぁ、○○は
はじめん
はじめん
鈍いしね。
苦笑した2人が私を見る。分かんないし…そんな事。なんて言おうとすれば、
はじめん
はじめん
オイラ、時刻表見てくるから!
シルク
シルク
はじめくん、ありがとう!
あなた
あなた
ありがとー
そう言えば、少しこちらに体を向けて手を振るはじめ。やっぱりモテる男は違うよなー。なんて思いながらボーッとはじめの後ろ姿を見つめる。あ、そう言えばシルクとはじめって好きな人っているのかな。聞いてみよっと。
あなた
あなた
ねぇ、シルク。
シルク
シルク
ん?
あなた
あなた
好きな人いる?
シルク
シルク
ぶっ…!?
シルクは、驚きすぎて吹き出しそうになる。え、そこまでなの?
シルク
シルク
な、なんでいきなり……
焦ったようにシルクが私に聞いてくる。
あなた
あなた
気になったから。
シルク
シルク
気になったからって……
やれやれ、といった感じでシルクが手を額に置く。え、私なんかいけない事言った?なんて首を傾げていると、
シルク
シルク
……まぁ、一緒にいて楽しい子なら居るよ。直球で言ったら、その子のこと気になってる。
少し顔を赤くしたシルクが、前を真っ直ぐ見て言う。シルクがこんな顔するなんて……
あなた
あなた
そっか。その人は幸せ者だね。
微笑みながらシルクに顔を向ければ、驚いたようにばっと顔を向けるシルク。そして、何か言おうと口を開いた時。
はじめん
はじめん
おーい、時間分かったよー。
遠くから聞こえるはじめの声に我に返る。
シルク
シルク
な、何時でした?
はじめん
はじめん
もう、すぐ来るよ。だから切符買っといた。
あなた
あなた
お、はじめ気が利くね!流石ァ!
はじめん
はじめん
痛いって!
そう言いながら、バシッと背中を叩けば痛がるはじめ。
あなた
あなた
早く行こ!乗り遅れちゃうよ!
駆け出しながら2人に言えば、あっという間に追いつかれる。ホームについた時にはもう電車が来ていて、すぐに乗り込む。結構空いていて、空いている席に座る。3人並んで。待って、これ私死ぬよ。だって、密着してるもん。
シルク
シルク
どした?○○
はじめん
はじめん
顔赤いよ?
ニヤニヤして私を覗き込んでくる2人。〜っこいつら!1発叩きたいけど、ここは電車の中だ。流石に無理。それを分かっている2人は、もっと距離を詰めてくる。
あなた
あなた
や、やめてよ!
はじめん
はじめん
何がやめてなの?
シルク
シルク
邪魔にならないように詰めてるだけだけど?
またニヤニヤして言ってくる2人。流石にイラッときたから、2人の手の甲を摘む。
プリンス
プリンス
痛い痛い!
邪魔にならないようになるべく小さな声で訴えてくる2人に、
あなた
あなた
じゃあ、もうやめてよね!
と言いながら手を離す。もう……。そう言っていれば、横目にデカい建物が見えてくる。
シルク
シルク
お。
はじめん
はじめん
着いたねー。
あなた
あなた
凄い!
私達が来たのは遊園地なんだ。きっと、楽しくなるよね。これから始まることに胸を膨らませたのだった。

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