玲於たちに殴りかかろうとしてたお父さんの前に立ち塞がった
そう一言伝えて、お父さんの方に向き合った
ずっとみんなと戦ってたからか、お父さんは至る所に傷を作って服に血が染み付いてる
それでも余裕そうな表情をしてるのは、やっぱりお父さんが強いって証拠だ
予想外の言葉と、お母さんという言葉に一瞬で変わったお父さんの表情
私の話を馬鹿にするように嘲笑った
でも、どこか辛そうな表情をしたのを私は見逃さなかった
お父さんの怒鳴り声に体がすくむ
気づいたら、そう呼んでいた
何で “桜弥さん“ と呼んだのか分からない
でも、きっとお母さんだ
お母さんが私を通して伝えようとしてるんだ
お父さんのそばまで行って、血塗れの手を握った
私の涙がポタポタとお父さんの手に落ちる
ギュッ
そう言って、お父さんは私を抱き締めた
その声は今まで聞いた事ないぐらい、か細くて弱々しい声
どんどん力がこもっていくお父さんの腕
そこから今までどれだけお父さんが苦しんだのか伝わってくる
そこまで話すと、お父さんは私から離れた
その手には……
短剣が握られている
言葉を失った
私の名前を呼ぶお父さんの声も、私に向けられたお父さんの表情も…
全部小さい頃私に向けられたものと同じだったから
パシンッ カチャンッ
部屋に響いた乾いた音と金属のような物が落ちた音
玲於がお父さんの手を叩いて短剣を落としてた
そして…
ガシッ
玲於の怒鳴り声が部屋中に響き渡った















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!