扉を蹴破って入ってきたのは……
何でみんながここに…?
だって、ここには絶対に来ないでって
そう手紙に書いたはずなのに
歓迎するような口調でお父さんはみんなの前に立った
お父さんはそう言って私の方に向き直る
乱桜組のトップになるんだ
ここまで来たらもう後戻りなんて出来ない
みんなと離れ離れになるのは嫌だけど
みんなを守るためにも乱桜組のトップになるしかないんだ
そう諦めて仮面に手をかけた時だった
AKIRAさんの言葉に手が止まった
じゃあ、何でここに……
そう言ってAKIRAさんは1歩前に出た
AKIRAさんは見た事ないぐらい鋭い目でお父さんを睨んでる
AKIRAさんだけじゃない
みんなも同じような目をしてる
そんな目に怯む事無く、むしろ可笑しそうに笑ってるお父さん
TAKAHIROさんの言葉を聞いた途端、一瞬でお父さんの目付きが変わった
あの時と同じ、人を傷付ける時と同じ目
赤く鋭く光ってる目だ
このままじゃまたみんなが危ない……
嘘、分かってるよ
お父さんのした事が間違ってたって、ちゃんと分かってる
でも、こうやって言わないと
お父さんが望んでるようにしないと
またみんなが……
玲於、ごめんね
こんな風に突き放すような言葉使って
前みたいに笑いかけられなくて
これしか方法が無いの
みんなを守る為にはこうするしかないの
だからお願い
今すぐここから出ていって……
『あなたはそれでいいの……?』
この声…
お母さん……?
『あなた』
どうして…
『言ったでしょ?私はいつもあなたのそばに居るって』
『だからあなたの気持ち、ちゃんと分かってるよ』
そう言いながら、お母さんは優しく微笑んでる
……お母さんには全部お見通しなんだね
お母さんの言う通りだよ
今すぐにでもみんな… “家族“ の所に戻りたい
またみんなと一緒に笑って過ごしたいって思ってる
でも、そしたらまたみんなを危険な目に合わせる
それだけは絶対に嫌なの
今までみんなにたくさん助けられた
だから、今度は私がみんなを守る
その為には乱桜組のトップになるしか……
『あなた、それは間違ってるよ?』
どうして…?
『皆さんを守りたいって気持ちは分かるよ』
『でも、その為に自分自身を犠牲にして欲しくないの』
『自分の気持ちに嘘ついて欲しくない』
『ありのままのあなたで居て欲しいの』
でも、そんな事どうやって…
『方法なら1つある』
『それはあなたの強い気持ち次第よ』
私の強い気持ち次第って…まさか……
『大丈夫、あなたなら出来るわ』
『だって……』
『あなたは私の自慢の娘だもの……』
ありがとう、お母さん……
カランカランッ
私はそう言ってお父さんの方に仮面を投げ捨てた
ガシャンッ
足元に投げ捨てた仮面を踏み砕き、赤く爛々と光る目で私を見てきた
ズキッ…
大丈夫、私なら出来る
ズキッ…ズキッ…
お母さんも “家族“ のみんなもそう言ってくれたんだ
ズキッ…ズキッ…
絶対にみんなを守るんだ……
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。