~照史’s side~
あれからも天候は不安定で、一度リスケすることになった
他にも仕事を抱えとる俺は1度帰ってから、また来ることに
正直、この状態でここを離れることに不安しかない
あなたに連絡先を渡したけど、そこへ連絡がくる気配もなく
またいなくなってしまうんやないかっていう恐怖
“1週間後にはまた戻ってくるから…”
なんとかそれだけを伝えて、俺は帰路についた
帰りの飛行機の中で色んな事が頭をよぎる
…あなたと会ったこと、伝えるべきやろか
落ち着くまで、黙っとるべきやろうか…
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会って早々に、淳太くんからそんな言葉が出た
…なんで、まだ何も言うてへんのに
あぁ、やっぱ隠し事は出来へんな
相方の勘の良さに驚きながら、俺は打ち明ける決心をした
淳太くんが目を丸くさせて俺を見る
淳太くんが信じられへんと呟いて、ソファに沈み込む
そりゃそうやろな、俺かて未だに夢かと思っとるもん
そやな、その可能性はずっと頭の中にはあるんやけど
淳太くんが大袈裟にため息をつく
分かっとるよ、それくらい
でも、どうしたらあの壁を崩せるんか、分からんでいた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。