第192話

story 190
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2022/07/14 15:00
~照史’s side~



あなたと再会して1週間がたった



連絡先を渡したけど、あれ以来電話が鳴ることは1度もなくて
明後日からまたロケのためにあなたのいる街へ行くんやけど



またあなたがおらんくなってるんやないかって



不安で仕方なかった


…こういう時はあそこやな



そう思って、またいつもの公園へ足を運ぶ



あなたとあの日、出会った公園

…あれっ



この日は珍しく先客がおって



大きな荷物を足元に置いた女性がベンチに座っていた

俯いた、少し寂し気な横顔があの日を思い出させる



気付いたら、知らずに駆け出してた
照史
あなた‼

ゆっくりと顔をあげた人は間違えなくあなたやった
照史
何で、ここに…?
あなた
仕事、クビになっちゃった
照史
えっ?
あなた
私のいる場所はここじゃないって
あなた
待ってくれてる人の元に帰りなさいって

そう言って笑うあなたの笑顔は輝いて見えた
あなた
だから、やり直そうっと思って
照史
やり直す…?
あなた
そう、出会ったとこから、やり直していい?

もう1度、ここから



もう1度、出会い直そう
照史
お姉さん、こんなとこで何しとるん?
照史
行くとこないんやったら、俺が仕事の伝手を紹介してもいいんやけど…
あなた
それって、どんな?
照史
3食昼寝付きで、ずっと俺の家で、俺の側にいる仕事
照史
それだけでええよ、俺の側におって

ポロポロと涙を流すあなたを引き寄せて、抱きしめる
あなた
…照史さん、ここ外だから
照史
ええよ、今抱きしめたいねんって

絶対に離さない、そう願いを込めて



もう人形なんかやない



俺だけの大事なお姫様なんやって


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