前の話
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この世界には二種類の人間がいる。一つは普通の人間、もう一つが『魔術師』と呼ばれる魔法を操る人間。火、水、木、雷、中には音や生命の魔法を使うものもいる。
朝起きると、いつも通りの生活が始まる。支度をして家を出て学校に向かい、友達と話し、勉強をして…そんないつも通りの日常。
友人の楓、和泉、雷と一緒に帰ってたとき、今日は毎作買ってるゲームの新シリーズの発売日だったことを思い出した。
「あ、今日異世界日記の発売日じゃん!」
「あ!そうだ!買いに行く?」
「俺金欠だからパース」
雷の問いかけに和泉が答える。
すると雷が
「あまって、そういえば今日財布忘れたんだった。」
それに対し楓が
「昼飯代、明日には返してね。僕も買いに行こうかな。火星也は?」
「行く〜、徹夜で99にする。」
そう言うと、和泉と雷は
「じゃ俺達帰るわ」
「楓の買い物が長くなりそうだから俺も変えるわ」
「んじゃ、また明日ー」
「ばいばーい」
二人と別れたあと、楓が
「行こっか。」
そう呟いた。
ゲームが売ってる店の近くの交差点で信号待ちをしてる時、黒猫を見つけた。
「あ、黒猫。」
「黒猫って嫌なことの前兆とか言うのを聞いたことがある気がするんだけど。」
楓が面白半分で聞いてきた
「それは嘘だ。あんな可愛い猫にそんな不吉なことあるわけ…」
あるわけない、そう言おうとした瞬間だった。
背中に圧力を感じた。ほんの一瞬の出来事、その力に耐えられず、俺は道路の方に体を飛ばし━━━
神様っていうのは割と不平等だったりする。周りに迷惑かけてるやつばかりいい思いさせて、術士として生まれて凡人の生活を望んで、普通の生活をしていた俺みたいなやつに限ってこんな目に合うことが多い。
こ、こで…おわ…り?
「キャァァァ!人が!」
「男の子がトラックに!」
「すぐに救急車を!」
「火珠也‼火珠也‼」
そんな聞き覚えのある声を耳にしながら、俺の意識はそこで途絶えた。
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こんにちは、これからぼちぼち投稿していきます
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!