抱きすくめられた腕の中で、なぜか私は泣きそうになった。
すると廉は、より一層強く抱きしめてくる。
苦しいくらいの力で
紫耀くん待たせちゃってるから行かないと、、
そう思うけど、でもっ…
廉がいる。
私のことをずっと好きでいてくれてた廉が
幼なじみで、ずっとふざけ合ってて、兄妹みたいな廉が
痛いくらいに私のことを好きでいてくれる。
私も、離れたくない…
それがきっと、私の本音
今までの私は、
彼氏に紫耀くんがいて、廉は幼なじみ。
海人は可愛い弟で、岸くんはおもしろくって、
じんくんは優しい友達。
その関係に甘えすぎていた。
私が踏み込まないから、
曖昧に、
みんなを傷つけてきてたんだよね。
すると廉は
抱きしめていた腕を緩めて、私の目を見つめてきた。
少し不安そうに、廉の声が震えてた。
私もちゃんと伝えよう。
本音を、すべてを
言葉が…うまく出てこない。
_______俺は、あなたが好き。
_____________幼なじみ以上に…なってください。
答えは決まっている。
もう言葉なんて出ないから
何度も何度も首を縦に振って、気持ちを表して。
_______私も廉が大好き。
_____________これからは彼氏として。よろしくね
そうして私たちは
見つめ合って、目を逸らして、
少し、じれったいような…
そんな恋人になった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!