第133話

あんまりじゃないか…!!
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2021/03/27 03:12



ピッ


ピピーーーーーッ




誰の気持ちも乗せないで会場中に響く

"試合終了の合図"





鉛のようになった重くなったであろう大きな脚を


引きずりながら一列に並ぶみんな。






見ていられないくらいに苦しくて…








それなのに ────────────





きっとそう、 "矛盾" っていうのは


こういう時のための言葉なんじゃないかって




思うくらいだったんだ ───────────










~あなたside~





ピーーーーー




「「「「ありがとうございました!」」」」







澤村「整列!ありがとうございました!」




「「したーっ」」






鳴り響く大きな拍手。






嶋田「お疲れ!!」







私も何か言わないといけないと思ったけど






滝ノ上「いい試合だった!」







…何も出てこなくて、、







滝ノ上「────── 負けた時にさ "いい試合だったよ" って言われんのが嫌いだったよ」







本当に本当に…







滝ノ上「"でも負けたじゃん" ってさ」







何も出てこなくて。。







滝ノ上「けどいざ声掛ける側になった時
それ以外に妥当な言葉って分かんねぇもんだな」







みんなの目から 今すぐにでも溢れだしそうな



どうしようもなく しょっぱいであろう一粒が





私をギリギリと締め付けた









こんなに悔しいのは初めてで…







いや、憶えてないだけなのかもしれないけど…






それでもこんなに悔しいのは身に覚えがなくて、、








誰か他のの悔しさが まるで


自分のもののよう・・・・・・・・に感じた ───────










それなのにどうしてか…









本当にどうしてなのか…










涙の一粒も流れて来なくて、、












悔しさを自分の中から出したことがなかったから…







恐怖とかそういうのが混じっていない





純粋な "悔しさ"








そんな気持ちの出し方は知らなくて…









でも胸がぎゅぅって苦しくて、、








おかしいんだ…













「撤収!」






体育館から出ていくみんなのもとへ




早く行かないとと急いで横断幕を取ろうとすると







嶋田「俺も手伝うよ」



滝ノ上「俺も俺も~」







2人が手伝ってくれたから早く終わった







あなた「ほんとッッ 色々ありがとうございましたっ」






嶋田「いーや、気をつけて行けよ~」





あなた「はい、!!」








お礼を言って 私は走り出した










あなた「🏃 ハァ ハァハァ」








走っている間も悔しくてたまらなかった









胸に重くとどまっているそれは


走っても振り落とされるわけではなかったけど











でも解ってるんだよ、、








みんなの方が私なんかより何百倍も悔しい事は…。










それがどれくらいかは私には想像もつかないけど






だからこそ…

その気持ちを知りたいと思う自分もいて、、











あなた「最初…何て言おう、、








色んな言葉が頭の中でぐるぐる回って






でも何もしっくり来なくて、、








あなた「🏃 ハァ 皆さん、、お疲れ様です…!」








だから ありきたり・・・・・な言葉を投げ掛けるしか出来なかった










日向「あっ、、あなた…」





西谷「、応援、、ありがとな」





菅原「スゴい届いてたぞ~ っ、ありがとな!」







あなた「!!」







あまりに衝撃的で

目を見開いたまま中々閉じられなかった








悔しいはずなのに…






何もしてない・・・・・・私に…





なんでそんな……







あなた「、こちらこそッッ

素敵な試合見せてくれてっ、
本当にありがとうございましたッッ」






そう私が言うと


みんな目にいっぱいの涙を浮かべた







──────── 決して溢さないように…





ただ息を潜めて ──────────










菅原「何だよ~

それじゃまるであなたが

"何もやってない" みたいな言い方じゃんっ」






あなた「え、






菅原「あなたの大きな応援のお陰で…

みんな頑張れたんだから、、」







そう言うスガさんの後ろから

ヒョコっと顔を出す主将も…







澤村「そうだな、本当にありがとな。」







田中「流石潔子さんに次ぐ

"烏野男子バレー部" のマネージャーだなッッ」







みんな口を揃えて急にそんな事を言いだすから……






あなた「ッ、」







ビックリして、、困っちゃって…









あなた「…ありがとうございますッッ、」







意味もよく分からずに そんなことを言っていた













そうか、




きっとここにある











"夢" も






"希望" も…












とんでもない







"苦しみ" も……










全部全部、、










この人達の中にあるんだ ─────────











??「🚶 」






小さな人の影が私達の近くに来て足を止めた








「「「「?????」」」」







誰だろう……???







あなた&影山「、っ!? な"ッ、








何で忘れていたのだろう ─────────







昨日はあんなに心に重くのし掛かっていたのに……








あなた「なんで、、








私だけじゃない、、





このままじゃダメだ…








なんで、、







なんでみんなまで巻き込むの…?







関係ないのに、、











今さっき負けたばっかの人達を、、


漬け込むの、??









こんなときに、、そんなの…







みんな苦しいはずなのに、、










────── そんなのあんまりじゃないか……!!











??「─────────」








みんなの疑問や固まった表情なんか



お構い無しにスラスラと話し出したその人










口を開ける直前、





いくつもの照明に照らされて





目の前のソイツは









微かに笑っている様に見えた ─────────
















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