第10話

14年越しのごめんね
あなた

…岩橋玄樹。

あなたは群馬に行くための準備をしなからそうつぶやいた。





電車を降りると辺りはすっかり暗くなっていた。改札を抜けると廉と環奈が待っていた。
永瀬廉
永瀬廉
あなたー!
あなた

廉!お姉ちゃん!

橋本環奈
橋本環奈
あなたちゃん!もう夜ご飯できてるよ。ゆっくりしてってね~。
あなた

うん、ありがとう!

廉たちの新居はシンプルだけど2人らしいセンスのいい家具とかわいらしい小物で調えられていた。そんなに広い部屋ではないけれど、その空間を見ただけで廉と環奈の幸せを実感させてくれた。
永瀬廉
永瀬廉
あなた、明日何するん?
あなた

小学校のときの友達と約束してるんだ。

橋本環奈
橋本環奈
ヘ~、小学校のときの友達とまだ交流があるっていいね。
永瀬廉
永瀬廉
遊びに行くのはええけど、あんまり無理せんでな。遅くなるなら、連絡くれれば迎えに行くから。
あなた

うん、ありがと。

それからあなたは風呂に入り、お客様用の布団の上で手帳を開いた。家中探してやっと見つけた小学校の卒業文集から書き留めてきた住所だ。

岩橋玄樹とは、小学校低学年の頃、同じ班になったことがきっかけで仲良くなった。通学路も同じだったので、登下校はいつも一緒だった。しかしある些細なことで2人は喧嘩した。特にあなたは玄樹に対して、強いあたりになっていた。仲直りすることなく小学校を卒業した。中学では学区が離れてしまい、長らく会っていなかった。
次の日、玄樹の実家の住所に向かうと、見覚えのある弟が顔を出した。玄樹の友達だと告げると、彼は兄ちゃんは結婚してここにはいないと言った。彼には守秘義務などないらしく、住所を訊くとあっさりと教えてくれた。
あなた

わぁ~、かわいい~!

その場所にたどり着くと思わず声を上げてしまった。洋風のかわいらしい外観の一軒家で、白い門の向こうにはたくさんの花が咲いていた。新しい表札はキラキラと美しく凜としていて、いかにも幸せな家族が住んでいる雰囲気が漂ってきた。
あなたはインターホンを押そうとボタンに手を置いた。