第9話

結婚式
25歳、中間地点の冬。
あなたは、結婚式場の試着室の前にいた。廉が結婚することになったのだ。
永瀬廉
永瀬廉
なぁなぁ、あなた。これどう?さっきの方がよかったんちゃう?
あなた

かっこいいよ。全部似合う。いっそ、全部着れば?

永瀬廉
永瀬廉
ちゃんと選んでや~。俺、あなたに選んでほしいんやって~。
あなた

はいはい…。

いつもと違うテンションの廉に呆れていると、廉の奥さんになる環奈がやってきた。
橋本環奈
橋本環奈
あなたちゃん、こんにちは。
あなた

あ、環奈ちゃん。休日出勤お疲れ様でした。廉、今試着室いるよ。

橋本環奈
橋本環奈
そっか。…あなたちゃん。廉のこと連れていっちゃって大丈夫?
あなた

え?

橋本環奈
橋本環奈
転勤になっちゃって、廉にも来てもらいたいって思ったんだけど…寂しくない?
あなた

廉が行かなかったら、環奈ちゃんは寂しいんでしょ?

橋本環奈
橋本環奈
それはもちろんそうだけど…。
あなた

じゃあ、いいじゃないですか。廉だって寂しいよ。

橋本環奈
橋本環奈
でも、家族が離れるのも寂しいかなって。
あなた

寂しいですよ、とっても。でも大丈夫。群馬にはお父さんの親類もいるし、わたしたちには馴染みのある土地だから、廉もうまくやってくれると思うよ。わたしももう25だよ。そんなに心配しないで。

環奈の心配もわかる。それ以上に廉が家族を置いていく気持ちになっていることも、本当は知っていた。
あなた

わたしはもう、そんなに簡単に入院したりしないから。ちゃんと体のことは気をつけられるから平気だよ。もうずっと調子いいんだから、大丈夫。

橋本環奈
橋本環奈
ありがとう、あなたちゃん。
あなた

いーえ、お姉ちゃん!

橋本環奈
橋本環奈
あっ!それいいね、お姉ちゃん!
あなた

でも廉にもお兄ちゃんって言ったことないから、恥ずかしいな~。

橋本環奈
橋本環奈
あなたちゃんにお姉ちゃんって言われて、私は嬉しいよ。
永瀬廉
永瀬廉
あっ、環奈!仕事、お疲れ~。
廉と環奈が並ぶと、周りの空気がふわっと変わる。従者の人たちもほほえましく2人を眺めていた。
そうして桜の咲く頃、廉と環奈は式を挙げた。2人とも誇らしくなるほど美しくて、あなたは心から幸せを感じていた。