第3話

夜の長電話
退院して3ヶ月が経った。
少しずつ外へ出て、生活に慣れ始めた頃だった。
中学時代の同級生、海人との長電話があなたとの夜の楽しみになっている。
あなた

なんかヒマってすごいよね。朝起きて、今日は何しようかなって思うの。それに夜寝るとき、今日は何したかなぁって思うの。かなり怖くない?わたしボケるかも。

髙橋海人
髙橋海人
何言ってんの!いくつだよ、あなた。
あなた

22。でももうすぐ夏が来て23歳。1日が過ぎるのはゆっくりなのに、1ヶ月はあっという間に過ぎていくの。

髙橋海人
髙橋海人
それな!学年っていう枠組みがなくなった途端、なんだか時間の流れが変わった気がする。お母さんがよく、1年があっという間、って言ってるけど、だんだんわかってきた気がするもん。ヤバい、確実に年取ってるってことだよね。ねぇ、そんなにヒマなら少し出かけてみる?今、少しずつ散歩したりして体慣らしてるんでしょ?
あなた

うん!お散歩してるよ。

髙橋海人
髙橋海人
『お散歩』って老人じゃないんだから…。じゃ、ちょっと若者らしいとこ、行く?
海人が意味深に笑う。
あなたはピンときた。
海人は、容姿はどんな服でも似合うイケメン青年だが、頭のてっぺんから足の先まで純度100%、完全無欠のオタク男子だ。
髙橋海人
髙橋海人
あなた、家帰ってきてもアニメとかマンガみてるの?
あなた

うーん、みてる。だってバラエティも最近全然面白くないしさ。ニュースは見ないし、ドラマもなんか面白くないじゃん?でもテレビが一番の暇つぶしだし。

髙橋海人
髙橋海人
そーゆーの、テレビが友達って言うんだよ。
あなた

うわ、ヒドっ!でもまぁ、みてるよ。アニメとマンガだけだよ、わたしを癒してくれるのは。

髙橋海人
髙橋海人
じゃあ、更に癒されに行こう!
あなた

どこ?

髙橋海人
髙橋海人
内緒ー。
海人は小さく笑った。