衝撃のイベントから3ヶ月。
過程をすっ飛ばして言うと、あなたはまたペンを握ったのだ。
そして、海人の提案で、あなたはその年の春、初めて自分で1冊の同人誌を描き上げた。久しぶりにペンを握ると、まるで発病する前の自分に戻れたような感覚だった。描き上げたマンガが印刷されると、彼女の同人誌を待ちわびていた海人が歓声を上げた。
それから、もう23歳になったあなたは、オリジナルのマンガを描き、編集部に送った。
年が明け日常が落ち着いてきた頃、編集者から連絡が入った。あなたはこの日を待ちわびていた。はやる気持ちを抑えて電話に出た。しかし、あなたのマンガは市場では使い物にならないということだった。
極限まで上がっていた期待が一瞬で叩き落とされ無残に潰れた。あなたはこの日、涙が枯れるまで泣いた。
翌日、速達で送り返された原稿を、あなたは泣きながら破り捨てた。物に当たっても少しの解決にもならなくて、ゴミが散乱した部屋が余計心を虚しくさせた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!