第11話

仲直り
あなたはインターホンを押そうとボタンに手を置いた。
その時、門の向こう側にいたゴールデンレトリバーと目が合ってしまった。そして、けたたましく吠えながらこちらに向かってきた。あなたは小さく悲鳴を上げた。
すると、玄樹と見られる男性が赤ちゃんを抱っこして庭に下りてきた。
岩橋玄樹
岩橋玄樹
ティアラ!ティアラ、静かに!
玄樹が駆け寄ってくると、ゴールデンは口を閉じたが、うなり声を上げてあなたを睨んでいる。
岩橋玄樹
岩橋玄樹
あの…あなた?
あなた

ひ、久しぶり…。

岩橋玄樹
岩橋玄樹
ウソ。本当にあなたなの?
あなた

本当にあなたです。永瀬あなたです。

ここに来た経緯を説明し、家に入れてもらった。
岩橋玄樹
岩橋玄樹
あなたが訪ねてきてくれるなんて嬉しいよ!ってか廉さん、こっちにいるんだね~。
あなた

うん。南中学校の近所にね。

岩橋玄樹
岩橋玄樹
会いたいな~。みんなの憧れ!って感じの人だったもんね。あっ、あなたは?今何してるの?
この際、体を壊してと話してもよかった。けれどこのときだけは、嫉妬や羨望とは違うところで自分を隠したいと思った。無邪気な赤ちゃんの笑顔と、この家いっぱいに広がっている幸せを曇らせたくなかった。
あなた

OLしてる。東京で。

岩橋玄樹
岩橋玄樹
へ~、そっか~。
あなた

玄樹、あのね…ごめんなさい!

岩橋玄樹
岩橋玄樹
僕もごめんなさい。
あなた

えっ?

岩橋玄樹
岩橋玄樹
僕、チキンなところあるからさ、あなたと仲直りしたいって思っても、話しかけられなかったんだよね。
あなた

だから、それはあたしが悪いの。ごめんなさい。

岩橋玄樹
岩橋玄樹
もういいじゃん。仲直り!
あなた

うん、ありがとう!

岩橋玄樹
岩橋玄樹
あっ、そうだあなた。いつまでこっちにいられるの?実は明後日、小3のときのクラスで同窓会あるんだけどさ~。行こうよ、あなた!
あなた

うん、行きたい!

岩橋玄樹
岩橋玄樹
本当!?あなたが来たら、みんな絶対喜ぶよ!
あなた

えへへっ、楽しみにしてるね!

岩橋玄樹
岩橋玄樹
うん!