圭介たちは先程いた教室から鳥羽の案内で移動し、会議室と書かれた札のついた部屋の扉を開けた。
会議室の中には3人の中学生が等間隔に置かれたパイプ椅子に腰掛けており、圭介たちが部屋へと入ると座っていた3人は下に向けていた視線を圭介達に向けた。
鳥羽は部屋の隅に置かれていたパイプ椅子を3人分引っ張ってくると、その一つにどっかと腰をかけた。
圭介と亜美も鳥羽に続いて椅子に腰掛ける。
圭介は鳥羽から事件の容疑者である3人に視線を戻すと、真剣な眼差しで質問を投げかけた。
吉田が少し緊張した面持ちで圭介の質問に答える。
次に圭介は吉田の隣で俯いている少年に視線を向けた。
良純は一瞬ビクッと体を震わせると、上目遣いで圭介の様子を窺いながら小さな声でそう答えた。
東川は圭介の視線を避けるように下を向くと、長いスカートをぐっと握りしめた。
圭介は後ろに重心をかけてパイプ椅子の前の脚を浮かせると、視線を宙に泳がせた。
そっけない返事をしていてが、圭介はすでに事件の核心に迫りつつあった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。