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第4話

Part.2
45
2021/03/11 05:37
圭介たちは先程いた教室から鳥羽の案内で移動し、会議室と書かれた札のついた部屋の扉を開けた。

会議室の中には3人の中学生が等間隔に置かれたパイプ椅子に腰掛けており、圭介たちが部屋へと入ると座っていた3人は下に向けていた視線を圭介達に向けた。
鳥羽警部
鳥羽警部
一応親御さんには連絡しておいたが、出来るだけ早く頼むぞ。
鳥羽は部屋の隅に置かれていたパイプ椅子を3人分引っ張ってくると、その一つにどっかと腰をかけた。
圭介
圭介
分かってるってオッサン。
圭介と亜美も鳥羽に続いて椅子に腰掛ける。
圭介
圭介
じゃあ早速だけどそれぞれ名前と事件当時何をやってたか教えてくれますか?
圭介は鳥羽から事件の容疑者である3人に視線を戻すと、真剣な眼差しで質問を投げかけた。
吉田淳人
吉田淳人
はい。僕は吉田淳人よしだあつとって言います。事件当時は楽器の練習をしていました。
吉田が少し緊張した面持ちで圭介の質問に答える。
圭介
圭介
なるほど。君は?
次に圭介は吉田の隣で俯いている少年に視線を向けた。
良純翔
良純翔
ぼ、僕は良純 翔よしずみかけるです。事件当時は淳人くんと同じで楽器の練習をしてました。
良純は一瞬ビクッと体を震わせると、上目遣いで圭介の様子を窺いながら小さな声でそう答えた。
圭介
圭介
それじゃあ君は?
東川瑞樹
東川瑞樹
私は東川瑞樹です。2人と一緒で事件当時は楽器の練習をしていました。
東川は圭介の視線を避けるように下を向くと、長いスカートをぐっと握りしめた。
圭介
圭介
へぇー。全員楽器の練習かぁ。
圭介は後ろに重心をかけてパイプ椅子の前の脚を浮かせると、視線を宙に泳がせた。

そっけない返事をしていてが、圭介はすでに事件の核心に迫りつつあった。

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